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どれほど望んでも⑤ (河瀬視点)
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俺は高校進学する気はあんまりなかったんだけど、中学のセンセがうるさいし、さすがに中卒だと仕事ねぇのかなとも思ってて。で、両親が「金なら出してやる」なんて言うから、じゃあ出してもらおうじゃんって思って進学した。どうやら両親は、自分ちの家系から中卒を出したくなかったらしいんだよな。あと、「グレた息子も進学させてやった両親」ってステータスが欲しかったのかもな。
高校に進学してからも朔との付き合いは続いた。「遊ぼうぜ」なんて言われたから軽い付き合いなのかと思ったら、そうでもなかった。意外と朔はマメな奴で、連絡を毎日してくるし、会う時間も多く作ってデートっぽいのも回数を重ねた。俺のこと女みたいに扱うのはたまにイラッとしたけど、まぁわりと甘やかされてたと思う。
約束通り、飽きない毎日だ。
「朔はさ、平日に外フラついてても退学になんねーの?」
「計算してっから大丈夫。それにうちの学校は警察沙汰になるような大事起こさなけりゃ、まぁ別にお小言を言われるくらいだし?」
「ふーん」
今日は朔の家に来ていた。
ぼんやりとテレビを見ていたら後ろから手が伸びてきた。口の端を指で辿られ、ビリっとした痛みに顔をしかめる。
「…何」
「いや? 口の端が切れてんなぁって思ってさ」
「痛ぇんだから触んな」
「喧嘩したんだって?お前が吹っ掛けるなんて珍しいこともあるもんだ、って滉が驚いてたぞ」
「イライラしてたんだよ」
久しぶりに両親に会って、会話はなかったけど蔑むような目を向けられたからだ。俺のことなんて本当は存在ごと抹消したいんだろうな。ほんとムカつく。
「そんときボコられてたのが、今日町であった奴か?」
「そうみたいだな。名前は知らねぇ」
「あいつ、お前のこと好きになったんじゃねーか?」
「はぁ?」
「秀隆はカッコよくて可愛いからな」
「寒いこと言ってんじゃねーよ」
「事実だろ? お前が他の奴と話してんの見ると、」
ぐい、と引っ張られベッドに引きずり倒される。逆光で朔の顔はよく見えない。でも笑ってるのは分かった。
「お前のこと閉じ込めたくなる」
「………重すぎんだけど」
「そう言うなよ」
「俺とは『遊ぶ』んだろ?」
「付き合ってくうちに情が湧くなんてよくあることだろ?」
「…そうか?」
付き合いが長引けば長引くほど、朔は俺に執着するようになっていった。朔はその日1日の俺の行動が気になって仕方がないらしい。制限されるとかそういうことはないけど、色々なツテを使って俺の動きを把握しようとしているらしい。
「俺のこと信用してねーってことなんじゃないのか」
「そういうわけじゃねぇよ。恋人のことを知りたいってのは、別に悪いことじゃないだろ?」
「…まぁ、そうかもしれないけど」
「お前のことなら何でも知りたいんだよ」
覆い被さられ、ちゅ、と首筋に口付けられる。
ぞわりとした感覚が背をかけ上る。
「…っ、何だよ、すんの?」
「恋人の部屋に来たらそういうことも了承済みだろ?」
「…いいけどさ」
この頃はまだ何となく窮屈さを感じていたくらいだったけど、そこから朔の執着はさらにエスカレートしていった。
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