アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
すれ違う心
-
鳥の囀りが聞こえる。
もう朝か、と思って起きようとしたけど、何だか違和感を感じた。
体が上手く動かせなし、何故か目が開かない。
「え…何で…」
困惑していると、頭を柔く撫でられた。ビクリと体を震わせると、その手は止まってしまう。
と、いうか…
撫で方で誰かは分かる。
「れ、蓮矢?」
「おはよう、稔。何かほしいものはある?」
「欲しいものっていうか、その、何…これ…見えないんだけど…」
蓮矢がそばにいることに安心したけど、状況が全く掴めない。徐々に自分の今の状態は分かってきたけど、さらに訳がわからなくなってしまう。
どうやら俺は、目隠しをされ、両手がしばられている状態のようだ。足は自由なんだろうけど、見えないからどうすることもできない。
「…。稔は」
「…?」
「俺にとって大切な存在なんだ」
「そ、そっか…ありがとう」
「だからこそ、不安になることがあって」
「不安…?」
「稔の魅力に気付いた誰かに、盗られてしまうんじゃないかって、不安」
優しく頭を撫でられる。
何だ、これ。蓮矢は一体どうしたんだ?
思い当たるのは昨夜の一件。
話していたときは普通だったし、優しく受け止めてくれたと思ってたのに。違ったのかな。
もしかして、ものすごく怒ってた?
それとも、呆れられた?
「でもこんなことするのは、稔のこと信じてないみたいで、…本当に俺はどうしようもない奴だって思う」
「……蓮矢?」
「稔は何も悪くないんだ。悪いのは俺。こんな風に縛り付けることしかできない、最低な男だ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。蓮矢、一体どうしたんだ?」
動きづらい手を何とか動かして、目を覆う布を取ろうとする。そしたら、少し強めの力で手を押さえつけられた。
「外したら別れる」
「!!」
そんな言葉を告げられると思わなくて、動揺した。別れるって、俺と蓮矢が? 外したらダメだなんて、何でそんなことを…
訳がわからず固まってしまう。
「……外さないんだな、ありがとう。別れたくないって思ってくれてる…?」
悲しいような嬉しいような、そんな曖昧な声色が聞こえてきてどうしたらいいか分からない。
そして、そっと触れるだけのキスを落とされ、俺は…、抵抗することなんて、できなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
97 / 103