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出会い
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『保護者』という言葉に、今度こそ明さんが来たと思った静は、心臓の鼓動が落ち着いてくるのを感じていた。
「あぁ朝連絡があったな。応接室に…」
「もう通してある。地迫ちゃんも呼んだし、後は…」
星野は安藤越しに静を見る。
「本島くんだね」
安藤の言葉に頷くと静は誠を見た。
「部屋……同じ…こいつも……」
「そうだね。河上くんも一緒がいいね」
ある程度の事情を聞いている安藤は、静の喋り方に眉をひそめることもなかった。
安藤と星野の後ろに続いて静と誠は歩き、応接室へと向かった。
その間に静は星野の言葉を思い出す。
『チサコちゃん』
珍しい名前だ。自分の知っている人物と関係のある人なのだろうか。
そんなことを考えていたら、応接室についてしまった。
応接室に入ると、そこには2人の男性がいた。
「静」
「静くん」
2人は静を見ると微笑んだ。
「うわぁ〜イケメンさんが2人もいる」
思ったことがそのまま声に出てしまうのだろうが、誠の何とも間抜けな声が応接室に広がった。
その言葉に2人は顔を見合わせると苦笑した。
「遅くなりました、明さん。……え? 兄貴?」
そんな中息急き切って現れたのは、この寮の担当教諭である地迫鈴成だった。
静は今そこで目を丸くして驚いている人物が自分の知っている人の弟であることを知った。
そんな中、誠はまたも感嘆の声を上げる。
「イケメンさんが増えてくよ〜」
その声は誰も聞いていないようで、静かに消えていった。
「何で兄貴も一緒に? 関係者以外は立ち入り禁止なんだけど」
「鈴、僕は静くんの主治医だよ。それに4月からは僕もここにお世話になるから、いいだろ?」
自分が聞いていた話とは違った。静は明さんと一緒に来た地迫拓海の側に寄る。
「病院…は?」
拓海は明に援助してもらって、個人病院を開く予定だと言っていたのだ。
それを返上するなんて、自分が原因としか思えなかった。
「ん? やっぱり自分1人の力で開業医になりたくてね。資金稼ぎの為に働く所探してね。偶然とはいえ、静くんと一緒にいられて嬉しいよ」
皆には聞こえない位の小さな声で言うと、拓海は静の頭を撫でた。
拓海は静に触れられる数少ない人物だった。
拓海の言葉を素直に受け取れる訳もなく、静は自分が他人の足枷になっていることを心苦しく思った。
「全員揃いましたね。では座って下さい」
「お茶です」
安藤が全員を見渡すと、低いテーブルを囲んだソファに座るように促す。
そして星野が絶妙なタイミングでお茶を出した。
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