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突然の告白
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敦が部屋に戻ると、何時もならまだ帰っていないはずの潤一がいた。
「おかえり」
「ただいま」
反射的に答えると、その後は沈黙に。
その沈黙に耐えきれず、敦は潤一に質問をする。
「あのさ、潤一」
「ん?」
いつものように本を読んでいた潤一は、栞を挟むと敦を見る。
「オレ達のことガードしてくれてたって本当?」
まさか気が付かれているとは思っていなかった潤一は敦の言葉に目を丸くする。
「静と誠のこと護ってくれて、有難う。もしかして、2人のどっちか好きとか? なら応援するけど」
「はぁ? ちょっと待て。どうして、そうなる?」
「だって、2人とも可愛いじゃん?」
告白して、速攻で振られるのは嫌だし、その後卒業までずっと同じ部屋なんて耐えられない。
「俺からすると、お前が1番可愛いと思うんだが」
「へっ?!」
肯定されることしか想像していなかったから、まさかの返答に敦は間抜けな声が出てしまった。
「冗談だろ?」
「いや、真面目な話、敦の大事な友達だから、ついでに変なのを追っ払っただけ」
何? この展開。と敦は目を白黒させる。
「俺は、思った事は言わないと済まないたちなんだ。1度しか言わないから聞いてくれるか?」
潤一の声が敦の耳には甘ったるく聞こえる。
どうしたらいいのか分からないのに、自分の気持ちとは裏腹に何故だか素直に頷いていた。
「好きだ」
何度も言われたことのある言葉のはずなのに、初めて言われたと感じる。
敦は自分に都合のいい夢を見ているんじゃないか、とか幻聴かもしれないとか思っているうちに目の前が歪んでくることに気がついた。
「あぁ、ごめん。変なこと言って」
声を上げることもなく、ただ涙が溢れて止まらない。
嬉しくても本当に泣くんだな、なんて敦は他人事のように思って潤一を見る。
潤一は焦ったようにオロオロとしている。
「忘れていいから」
「忘れない…よ?」
忘れられる訳がない。”初めて好きになった人”から好きだと言われたのだ。
「え?」
「オレも、好き。潤一の事大好き」
相変わらず涙は止まらないけど、幸せ一杯で笑顔になる。
「えぇー?! 俺なんかでいいのか?」
「それ、こっちのセリフだから」
敦は目の前にいる潤一に抱き着く。
潤一はまるで壊れ物を扱うように優しく抱き締め返した。
そんなんじゃ足りないと、敦はまだ締めたままの潤一のネクタイを引っ張る。
「はっ? むぐっ」
驚いたような潤一の顔を一瞬見て、敦は潤一の唇を奪った。
何が起きているのか潤一が把握したのは、チュッと音を立てて離れた敦がイタズラっ子のように笑うのを見た時だった。
「潤一って、今まで付き合った人とかいないの?」
「……いない…」
「そっか。じゃあ潤一の初めてはオレが全部貰うから」
ニヤリと笑う敦に、潤一はツノと尻尾が生えている様に見えた。
「小悪魔」
「褒めんなよ」
潤一はそんな敦のことも可愛いと思っていた。
恋愛は惚れた方が負けなんて言う人もいる。
負けでも何でもいい。
両想いの幸せを2人共感じていた。
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