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演技じゃなければいいのに
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しばらくして静は我に返ると恥ずかしさで顔を赤くする。
いちいち反応が可愛くて、敦も誠も見ているだけで笑顔になってしまう。
「昨日何があったかは聞かないから安心して」
静はコクンと頷く。
「で、今日だね。スーパーでの鈴先生の恋人発言は嬉しかった?」
敦の言葉に静の顔が急に曇った。
「静?」
「1番始めに『話し合わせて』って言われたんだ。だから全部演技なんだと思う」
今日の鈴成を思い出してみる。敦には全部本気で演技なんて何処にも無かったように見えた。
「言葉も行動も全部」
抱き締められたことも“恋人”だと言われたことも全部。ということだろう。
「そうかなぁ、オレにはそうは見えなかったけど。もしも演技じゃなかったら? 嬉しい?」
演技じゃなければって思っていた。でも、静は素直にそのことを言えなかった。
「分からない」
「ウソ言わない。ちゃんと本当のこと言って?」
目が泳いでいて、静がウソをついていることは火を見るよりも明らかだった。
「……演技じゃなければいいのにって思ってた」
一際小さい声でそう言うと、静は俯いた。
「うん、そうだよな。ということは、恋人になりたいってことか」
「は? 何言ってるの?」
静は顔を上げて敦を見ると目を大きく見開いた。
「だって、あの恋人宣言も演技じゃないといいんだろ? 本当だったらいいなって思った。違う?」
「あれは驚いて何も考えられなかったから」
静は恋人宣言よりも、抱き締められたことの方がドキドキしていた。
もしかしたら恋人宣言があったからこそ、もっとドキドキしたのかもしれないが、それはよく分からなかった。
机に置いてあったスマホが鳴って3人は揃ってビクッとなった。
「静のじゃない?」
「拓海さんかな」
思った通り拓海からのLINEだった。
拓海『鈴も帰ったし僕達も寝るから片付けよろしくね』
いつもなら電話をするか、内線で直接話すのになと思いながらも返信をする。
静『分かりました』
「鈴先生も帰ったらしいから、片付け済ませてくるね」
「帰ったらまた話すから、待ってる」
「……やっぱり? 片付けに少し時間がかかるから先にお風呂入って大丈夫だよ」
2人は声を揃えて『はぁ〜い』と言うと、早速お風呂に向かった。
静は一度脱いだエプロンをもう一度つけると隣へと向かった。
となりのリビングダイニングからはまだ声が聞こえてくる。
明さんと拓海さんがまだいるのかな? と思っていたらいないはずの人の声が聞こえてきた。
「明さん、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「それは俺が静の親だからだな」
自分の名前が出てきた、ということは話題は自分なのだろうか。静は2人の会話に入っていけそうも無いと思い、その場で中の様子を伺う。
「もう一度聞くよ。鈴成くん、本当の気持ちを教えて欲しい。静のことどう思ってる?」
え?!
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