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登校再開
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あの事件があってから明日で一週間になる。
静の頰のアザは殆ど消えた。
目の下のクマもぱっと見では分からない程になっている。
「もう学校に行ってもいいよね?」
明と拓海は顔を見合わせる。
「無理だけはするなよ」
「何かあったらすぐに保健室に来るんだからね」
2人の了承を得ると静は早速準備を始める。
誠は拓海の車に一緒に乗って登校していたが、静は未だに車に乗ることが出来ないので、電車を使うほかない。
「静は俺が送るよ」
「うん。よろしくね」
「え? 1人で平気だよ」
ラッシュ時に静を1人で電車に乗せる訳にはいかなかった。
「ダメ」
拓海と明の声が重なる。
「どうして?」
「痴漢に遭ったらどうするの」
拓海の言葉に静は首を傾げる。
「誰が?」
「静くんに決まってるでしょ? 明さんを痴漢する人はいないと思うよ?」
「僕を気にする人なんていないよ」
自分のことを可愛いと全く思っていない静を見て、2人は揃って溜め息をつく。
「とにかく送っていく。そうしないなら学校へ行くのはもう少し待て」
「……分かった」
静は渋々了承する。
明さんと電車に乗るなんて、病院巡りをしていた頃以来だなぁ。
なんて静は思っていた。
誠の朝食の準備を整えると、静は明と一緒に少しだけ早く家を出た。
電車に乗ると明は静を扉の横にある手すりの所に立たせて自分が盾になるようにした。
「明さん?」
「ん?」
「拓海さんと一緒の時もこうするの?」
「そうだな。あれも危機感無いからな」
他愛も無い話をしていると、思ったよりも早く駅に着いた。
駅からは徒歩15分である。
高台にあるため、結構大変だが着いてしまえば久々の学校に疲れも吹っ飛ぶ。
「明さん、ありがとね。いってらっしゃい」
「いってきます。静もあまり無理はするなよ。いってらっしゃい」
「うん。いってきます」
笑顔で手を振る静の姿を明は微笑んで見ていた。
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