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理不尽な言い分
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なんでこんな事になったんだろう???
静はジャージに着替えてグラウンドにいた。
およそ30分前、拓海さんと話がしたかった静は誠も敦も先に帰ってもらった為、1人で保健室に向かった。
でも保健室に辿り着くことはなかった。
「本島くん? ちょっと話があるんだけど」
教室を出てすぐにハルに話しかけられたのだ。
「え? あ、はい」
「こっち、ついてきて」
嫌だったけどそんなことも言えずに静は黙ってついて行った。
人気のない所でハルは立ち止まると、話し始めた。
「本島くんて体弱いの? 見た感じ元気そうだよね」
いきなりそんな事を言われて何て返していいか分からない。
「どうしてですか?」
「体育の授業、1度も参加した事ないって聞いたんだけど」
その事を問題にされるとは思っていなかった静は返答に詰まる。
事故に遭ったことは伝わっていないのだろうか。
「それで学年1位って変じゃない?」
体育の授業に出なくてもいいと言ったのは学校側からだった。
無理に走ると良くないという診断書を提出したからなのだが、それを言えば納得するのだろうか?
「何も言わないのは不正をしてるから?」
「そんなこと……」
「偽の診断書を書かせたんじゃない?」
そんな事をする医者がいると思う事が変だと気が付かないらしい。
「そんな訳、ありません」
「主治医の先生とは随分と仲が良いみたいだし?」
静の声が聞こえているはずなのに、それに対する答えはない。
「俺が納得出来る理由が無いなら、思いっきり走ってみてよ」
自分が何を言っても納得するわけが無いことは容易に想像出来た。
「……分かりました」
静はそう答えることしか出来なかった。
静は事故の後、手術を担当してくれた先生の所に3ヶ月毎に診察に行っている。
前回の診察で、短い距離をゆっくりと走っても良いと言われ、軽いトレーニングを始めたばかりだった。
思いっきり走ったらどうなるんだろう???
軽いトレーニングで背中だけでなく体の中から痛みが出てきたことが静は気になっていた。
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