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キス
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「レン先輩、俺ポーズどうしたらいいですか?」
「ハルを彼女だと思ってやってみて」
「了解っす!」
撮影中は喋っても大丈夫。
自然体で笑った所やちょっとした顔の変化を、レンは逃さず撮ってくれるから。
「ハル先輩、これめっちゃ美味しいんですよ!俺のオススメ!」
島くんはコンビニ袋から飲み物を出して、僕に手渡した。
ミックスジューススムージーと書いてある。
「あ!これ最近CMでよく見るやつ!」
「そうなんです!俺ハマっちゃって。良かったら飲んでくださーい!」
「ありがとね」
思わず笑みが漏れた。
彼はこういうところが凄い。
それから、部活のことや勉強のこと、恋の話をした。
隣に座る彼。
じっと目が合う。
少し恥ずかしくなったので、目を逸らすと、彼は僕の頬に手を優しくかけた。
「先輩、好きです」
唇が優しく触れる。
ふわっとした、暖かい感触。
柔らかいのは、女の子だけだと思っていた。
男の子だって、実はそうなんだ。
ほんの一瞬だったけれど、変な気持ちになった。
それから立ち上がって、外を見ようと手すりを持つと、後ろから島くんが覆いかぶさってきた。
僕は標準の男の子より少し小さめ。加えて島くんは背が高いから丁度見え映えする身長差。
暖かい。
抱擁されるって、こんな感じなんだ。
今までは自分が女の子にする側だったから知らなかった。
安心する。
でも少し、心がズキんとした。
何かが引っかかる。
何か…が。
「ハル、島。ありがとう。良いのが撮れた」
レンの合図で僕らは離れた。
今日の撮影はこれで終わり。
ちょっと今日の写真撮影はハードだった。
撮影中はどうってことないのに。
後から羞恥心が押し寄せてくる。
島くんに後ろから抱かれたこと。
キス…されたこと。
なんで2人とも平然としてられるのか不思議だった。
いやさ…僕も全くの未経験という訳ではない。
一応人並みには経験だってしているけれど。
でもやっぱり、これは恥ずかしい。
写真集として出るなんて、大丈夫なのだろうか。
「ハル、顔赤いよ。大丈夫?」
「だ、大丈夫!」
そう?と心配そうなレン。
その時、ラインで電話がかかってきた。
慌ててとる。
『お疲れ!こっちは今日の分の撮影は終わったよ。部長と一緒に、これから部室帰るね』
声の主は副部長のアキラさんだった。
落ち着いた声。
「僕らも帰って、編集作業に入ろうか」
その言葉を境に、僕らは屋上を後にした。
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