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不穏な動き
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予鈴が鳴る。
「ねえレン、僕のシャーペン知らない?」
体育の授業から帰ってきてみると、お気に入りのシャーペンが筆箱から無くなっていた。
机の横に掛かっているカバンの中身も確認する。
が、お目当ての品物は見つからなかった。
どこ行っちゃったんだろう…。
僕は肩を落とす。
だってあれは、高校受験の時にレンから貰ったお守りだったんだから。
「家に忘れて来たとか?」
隣の席で、次の時間の準備をしながらレンはそう言い返した。
「1限の時はちゃんとあったんだけどな…」
筆箱はコンパクトに抑えたい僕。
普段からシャーペンも赤ペンも、スペアを持ち歩いていない。
「更衣室に起き忘れて来たとか?」
「あー、かも」
ちらっと教室の時計を見ると、次の授業の時間まであと1分を切っていた。
更衣室で長いことケント達と話していたので、休憩の時間がとっくに過ぎていたのだ。
今から取りに行っても間に合わない。
「使って」
レンが僕の意図を汲んで、そっとスペアのシャーペンを差し出した。
「ほんっと感謝!」
僕が礼を告げると、レンは「どいたま」と言った。
彼のさり気無い気遣いにいつも助かっている。
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