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episode.3 朝食
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〜奏多side〜
「いただきます。」
みんなでテーブルについての朝ごはん。
大学の講義が休みの日はこうやってみんなで食べることになっている。
もっとも、朝食の後は、賢杜は仕事、涼と知夏は大学に行くことが多い。
「んまぁ…やっぱ知夏姉さん結婚しよう。」
「今日作ったの月乃よ。」
「まじ?!月乃さすがぁ!月乃今度俺と出かけない?」
「調子よすぎ。」
「ええ、いいじゃん、月乃、ね?」
「今度ね。」
月乃の今度は、ない。
月乃は奏多に少しも靡かない。知夏のような甘さもない。
「じゃあ知夏姉さんは?」
「買い物くらいなら付き合ってあげてもいいわよ。」
「まじ?!」
「今日の荷物持ちする?」
「する!」
「ごちそうさま。」
「賢杜、夕飯は?」
立ち上がった賢杜に、知夏がそう聞く。
「ここで食べる。」
「涼は?」
「ちーが作るならここで食べるよ。」
「なにそれ。」
知夏は涼の言葉にクスリと笑った。
「今日は家で食べるよー。」
涼が結局そう言う。
その間に、賢杜はさっさと出社の準備をしていた。
「月乃は?」
「今日は友達と食べてくる。」
「了解。じゃあ賢杜いってらっしゃい。」
「いってらっしゃいー。」
知夏と涼にそう言われて、軽く手を上げた賢杜が出て行く。
「俺も大学行ってくるー。」
涼も出かけて、程なくして月乃も出かけて行った。
「じゃあ私たちも買い物行くわよ。」
「えっ、早くない?」
「今日は寄るところが多いの。荷物持ちの約束、したんだからね?」
「もちろん!知夏姉さんと出かけられるなら持つよ。」
とはいえ朝から買い物は少し辛い。
奏多は決して、朝が得意なわけではないのだ。
しかし、家に1人でいるよりは、知夏と出かけたほうが確実にいい。
楽しいし、余計なことを考えなくて済む。
やることがあるほうがいい。
*
「奏多?」
今日は比較的暖かく、スキニージーンズにオフタートルのグレーのニットを着ている知夏が振り返る。
知夏はかなりの美人だ。
いつものことではあるが、周りからの視線が痛い。
「行くわよ?」
「あ、うん。」
隣に並んで歩くだけで、多くの視線を感じる。
もちろん男の、だ。
「奏多と並んで歩くと、女の子からの視線が痛いわね。」
「えっ?!」
それは知夏の方だと思う。
知夏は男からはもちろん、女からもモテる。
同性婚が可能になった今の日本では、特別不思議な話ではなかった。
「奏多相変わらずモテるのね。」
サラッと髪を靡かせている知夏に、赤面してる男がいることをわかっているんだろうか。
奏多はそんなことを思って苦笑する。
「そんなことないよ。知夏姉さんのほうがモテてる。」
「そうかしら?」
なんだか悲しそうに笑っているように見えたのは、奏多の気のせいか。
「今日は何買いに行くの?」
「食品と、日用品、あとベッドシーツをそろそろ変えないと。」
「結構買うものあるんだね。」
「奏多が荷物持ちしてくれるからね。」
「任せてよ。」
奏多はそう言って、知夏の腕を取る。
「もう。」
知夏は困ったように笑うだけで、拒否はしなかった。
周りが一瞬ざわめいたのは、気のせいだ。
そう思うことに決め、そのままショッピングモールに入っていった。
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