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episode.6 瞳
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〜奏多side〜
「いった…おい、ほんとお前なんなの?!」
なぜか賢杜の部屋に入れられて、ベッドの方に投げられる。
奏多は身を起こして、ベッドに腰掛けたまま、扉の近くに立っている賢杜の方を向く。
「知夏姉さんと月乃の話までわけわかんないこと言い出すし、勝手に連れて帰るし、ほんと意味わかんないんだけど?!」
「知夏と月乃とは何もないことは分かっていた。」
「わかってんならなんであんなこと言ったんだよ?!」
「お前があそこにいる女たちといたところで、結局今までと同じことだからだ。」
「ああ?! 何だと、そりゃどういう意味だ!」
賢杜の言っていることが意味がわからないし、突然連れ帰られて気分も悪かった奏多は、思い切り突っかかった。
すると賢杜が、ぐい、と距離を詰めてきて、奏多は少し体を反らせる。
「お前が一人の女に本気で惚れ込むことはないだろうという意味だ。」
賢杜は口元に、わずかに笑みを浮かべてそう言う。
思いがけない言葉に、奏多は固まった。
急に心臓が凍ったみたいに、どんどん体が冷えていく。
「……え…」
頼りない、情けない声が出た。
賢杜は突然、真剣な顔をして、奏多を真っ直ぐに見つめてくる。
射抜かれるようなその視線に、一瞬、背中がぞくりとした。
「怖いのか。……惚れられるのは。」
何だそりゃ、と言いたいのに、喉の奥が凍りついたように、動かない。
奏多の声は、どこかに奪われてしまったみたいに、音になることがない。
「怖いのは、応えられないからか? なら安心しろ。俺はお前に、そんなものまで要求するつもりはないからな。」
そんなものって、それは恋心のことか?
愛のことか?
それを要求しないなら、何を要求するつもりだ。
頭の中に溢れる疑問は、何ひとつ言葉にならない。
どうする気なんだ。
何も求めてないとか言っておいて、じゃあなんで、その手を伸ばしてくるんだ。
頭の中がパニックになって、伸ばされる手を払うことも、避けることもできない。
ツ…と指先で頬を撫でられる。
触れてくる手が温かい。
「……抱かせろよ。」
命令しなれた絶対的な言葉。
その中に滲む、少しの甘さ。
ふざけるな、そう言いたいのに言えないのは、奏多の喉がまだ固まっているせいなのか。
それとも、別の理由なのか。
それは奏多にも、わからなかった。
「んむっ、ぅぅっ、う!」
固まって動けない奏多に、賢杜は唇を重ねる。
なんで、どうして。
こいつは俺のこと好きだったのか。
いやでも愛は求めないとかなんとか言ってたじゃないか。
奏多の頭の中は大パニックだ。
とにかく唇を離して欲しくて、賢杜の胸をドンドンと叩くが、その手を取られて、ベッドに倒される。
「んんっ、ふぅん…」
押し倒されたせいで、深くなったキスに鼻から抜けるような、甘ったるい声が出て、羞恥で顔が赤くなるのが自分でもわかる。
いつもはキスをする側の奏多だ、される側は当然慣れていなくて、舌を絡められて思考が蕩けていく。
「んっ、んんぅ…んぅ、ん…」
自分の声とは思えない、女みたいな声が出て、恥ずかしすぎてたまらない。
「んっ、は…はぁ…」
やっと唇を離された時には、息は上がっているし、飲みきれなかった唾液が口から溢れていた。
見上げる先にあるのは、賢杜の無駄に色っぽい顔で、欲情の色を映した瞳が、奏多の心まで見透かすように、じっと見つめてくる。
賢杜の指が、耳に触れて、ピクリと体が揺れる。
その指は、頬を通り、首筋をなぞり、鎖骨へと降りる。
体がゾワゾワして、肩がピクピク震えた。
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