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episode.9 関係
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〜奏多side〜
「…ほんと最悪…」
朝目が覚めたのは、自分のベッドの上だった。
ということは、賢杜がそこまで運んでくれたということだろう。
後孔の違和感がものすごく、足腰もギシギシで、気分は最悪だった。
「ははっ…災難だったなぁ…」
「…埋め合わせが愚痴かよ。」
「もっとないの?!俺への慰めの言葉は?!俺の貞操が奪われたんだぞ?!」
「元からないだろ。」
「うーわ、トモひっどい。」
「うーん、貞操観念はあまりないよね?」
「陽生まで……」
埋め合わせ、という名の愚痴を言う会。
誰かに言わなきゃやってられない。けれどシェアメイトには死んでもバレたくない。
そう考えた奏多が頼ったのは、いつも通りというべきか、陽生と智夜だった。
「ほんと、内田は何なの?モテてるからって調子乗ってんのか?それとも俺への恨みでもあんのか?もしかして俺、内田の彼女寝取った?」
「…や、内田さん彼女いないだろ。」
「…なんでトモが知ってんの?」
「いたらうちの学部で大騒ぎになるだろ。少なくともこの1年、そんな話聞いたことない。」
「まあ、確かに…」
「元カノ寝取ったならあるかもねぇ。」
ほわほわっ、とした口調でそんなことを言う陽生。
3人の中で、実は主導権を持っている。
「それ寝取ったって言わなくね?」
「確かにー!」
「にしても、カナが普通に抱かれるとか意外。」
「抵抗したに決まってんだろ?!押さえつけてやられたの!!」
嘘だ。
ろくな抵抗もできずに流された。
「…それレイプじゃん。なんか言ってやろうか?」
「いや、いい…それはなんか…うん、俺にも非はあるから。」
「ふーん…」
智夜はそれ以上は突っ込んで来なかった。
(…興味、ないのかな。)
ちらりと智夜を見るが、智夜はいつも通り無表情だ。
智夜はあまり喋る方ではないし、表情もさほど変化しない。
一緒にいる人は選んでいるように見えるので、嫌われていることはまずないと思うが、かと言って好かれているということもなさそうな、感情の読めない相手だ。
(内田と、似てるかも…)
奏多はそう考えて、いやいやなにを考えてるんだ、と頭を振った。
「奏多どーした?」
「いや、なんでもない……家帰りたくねぇ…」
「シェアメイト他にもいるんだろ?内田さんに会わないように、生活時間ずらせば?適当に言って。」
「そうも行かないんすよ…全員揃うときは、できるだけご飯を一緒に食べるっていう暗黙のルールが…」
「ドンマイとしか言えない。」
「…うち来る?」
「えっ。」
智夜からの提案に、奏多は目を輝かせた。
賢杜と会わずに済むなら、これほど嬉しいことはない。
気まずいし、どんな顔をしたらいいかわからない。
それに。
(トモの家か…)
奏多の中で、智夜は友人よりは特別な感情を抱く相手だった。
智夜は、奏多に何も求めない。
今までに出会ったことがないタイプの人間なのに、一緒にいて楽だった。
奏多は、他人が奏多に何かを求めたときだけ関係を持っている。
それは、例えば友情、愛情などのもので、セックスもその1つ。
求められるから、あげる。
求められなくなったら、さよなら。
そういう関係だ。
例外が、陽生だ。
彼とは一緒にいたいから、仲良くしている。
それは陽生も同じことだろう。
そしてもう1人の例外。それが智夜。
何も求められないし、こちらから何かを与えようと思っても拒まれる。
友情を拒まれるわけではないが、一方的に与えられることを嫌っている。
智夜も何かを与えてくることはないし、求めてくることもない。
陽生のように付き合いが長いわけでもないが、居心地はよかった。
それは、昨日、賢杜に見抜かれた、自分の心の奥底に潜む思いのせいかもしれない。
奏多はぼんやりとそんなことを考えた。
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