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episode.27 興味
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〜奏多side〜
1月7日
「…はぁ?」
「な、お前ならどんなやつに興味惹かれる?」
「お前なぁ…人がせっかく教えてやってるのに何考えてんだ?あ?真面目にやる気あんのか?」
「いいだろ、本沢もモテるんだから。」
明日から始まる新学期に備え、年末教えてもらえなかった分も含めて、本沢から勉強を教わっていた時。
奏多はふと、賢杜のことを智夜や陽生以外にも聞いてみようと思い至った。
「俺には人に執着する意味がわかんねえよ。どうでもいいだろ、そんなの。」
「つまんねーやつ。好きなやつとかいねえの?」
「…好きだから執着するのか?それは違うだろ。」
「まぁ確かにな…え、てことは本沢、好きなやついんのか?!」
「あーうるせぇうるせぇ!勉強すんぞ。」
「はぐらかすなってー!」
「お前春休み欲しくないのか?」
「うっ…」
大学は、大抵が冬休みが終わったあと、2週間ですぐ春休みになる。
そして春休み前の最後の1週間は、テスト週間だ。
そこで成績が悪ければ、当然春休みは補習となる。
「ほら、この問5のa。答えは?」
「え…ぅ…」
「ここで詰まってるようじゃ絶望的だな。」
「すぐに出せるわけないだろ?!どんだけ計算早いと思ってんだ!」
結局本沢にうまく丸め込まれ、本沢の意中の相手の話は出来ずじまい。
それに賢杜の謎についても、参考になるようなことはなかった。
「おわったぁぁぁ…」
「これで補習はねえだろ。」
「サンキュー!」
「…ま、お前みたいなタイプが執着されやすいんだろうな。」
「…は?」
問題に集中して、最初の方にしていた話はすっかり忘れていた奏多は顔をしかめた。
「なんだよ、お前の質問に答えてやってんだろうが。俺が興味を惹かれるわけじゃぁねえけどな。」
「あー…って、なんで俺が?」
「誰にも本気になってねえだろ?そういうやつを本気で惚れさせるのが楽しいんじゃねえか。」
ニヤリと笑う本沢に、奏多はげんなりした。
「なんだよ、ゲームみたいな言い方しやがって…」
「ゲームみたいなもんだろ。お前みたいなやつを惚れさせて、自分にしか見せない顔を見る。」
「それの何が楽しいんだよ。」
「優越感に浸れるじゃねえか。こいつは俺しか見てえねえんだぜ、ってな。」
賢杜がそんなことをするのだろうか、という疑問は置いておいて、話としては理解出来なくはなかった。
「まあもし、お前に気があるやつなら、全部カムフラージュで、独占欲かも。」
「独占欲?」
「そ。本気じゃねえよってフリして林に近づいて、林の方を本気にさせて、自分しか見えなくする…的な?そんなことが出来る演技派の策士がいるなら会ってみてえけど。」
「…そりゃねーわ。」
賢杜が奏多に気がある、なんてことはまずないだろう。
それなら今だって女と会っていないはずだ。
偶然昨日聞いてしまったが、今日賢杜は女とラブホテルに行く約束をしていた。
奏多に本当に気があるなら、まさかそんなことはしないだろう。
「ま、適当にあしらっとけば、そのうち興味なくすんじゃねえの?」
「だよなー。やっぱ本沢ならそう言うと思ったわ。」
「人をなんだと思ってんだコラ。」
「え、周りには無関心の猫かぶり。」
「うーわ、ひでぇ。俺だって興味持つことくらいあるっつの。」
「例えば?」
「秘密。」
「ケチ。」
「うるせぇよ。おら、病み上がりはさっさと帰った帰った。」
「へいへい。」
教授室を追い出され、奏多は1人で門に向かう。
「…つーか本沢もあんな顔すんだなぁ…」
秘密、などと言った本沢の顔は、いつもと違って少しだが真剣だった。
本当に興味のある何かはあって、それはあまり人には教えたくないことらしい。
もっとも、奏多にはそれはどうでもいいことであった。
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