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#episode.39 期待と諦め
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〜奏多side〜
電話に出てすぐ、イチに後ろから抱きしめられる。
そのまま体を触られ始め、奏多は焦った。
電話の向こうでは、知夏が賢杜に、電話を代われと言っている。
「お、う、内田っ…たのむ、から…知夏姉さんにはっ…」
『…は?』
賢杜にも聞かれたくないけれど、知夏にはもっと聞かれたくない。
賢杜は怪訝そうな声を出す。
「おねがっ、かわんないでっ…や…」
モノに触れられ、声が上ずる。
やめて、と言いかけると口の中に指を入れられた。
そのままクチュクチュと中を弄り回され、電話に音が入らないか気になって仕方がない。
『お前、何してる?』
賢杜にそう聞かれて、ドキリとした。
バレたくない。どうしても、知られたくない。
「えっ、や、その…友達の、家に…」
なんとか誤魔化そうと、とりあえず口を開く。
『南方の家か。』
不機嫌そうな声。
智夜の家ではないけれど、そうしておいた方がいいのだろうか。
思考が散り散りになって、まとまらない。
声を抑えようとするあまり、呼吸が荒くなる。
『おい、大丈夫か?』
賢杜の声に、答えないと。
「大丈夫、トモの、いえ…いるからっ、あ…!」
ぐりっ、とモノの先端を刺激され、奏多はあっけなくイってしまった。
『ほぉ…お取り込み中のようだから邪魔しないとしようか。』
バレた。
バレた、バレた。
どうしよう。
頭が真っ白になった。
まだ余韻の残る中、必死に言い訳を考えた。
「え、まって、うちだっ…」
『なんだ?これ以上聞かせたいのか?』
冷たい声。
なんだか、胸がズキリとした。
「ちがっ、これは…!」
『知夏には俺から言っておいてやる。』
「うちだっ、まって…!」
ツー、ツー、と無機質な音が耳に入る。
電話を切られた。
「バレちゃったかな?」
ニヤニヤ笑いながらそう言うイチの声も、どこか遠い。
バレてしまった。
でも、それより。
誤解、された。
その方が辛く感じた。
賢杜のあの様子では、智夜とシていると勘違いされただろう。
賢杜は鋭いところがあるし、もしかしたら、奏多が智夜に対して特別な感情を抱いていることもバレているかもしれない。
つまり、賢杜からすれば、奏多と智夜は両想いで、イチャついているところをわざわざ聞かせてきた、という状況にも感じられる。
(…抜け出せ、ない。)
奏多は、心のどこかで期待していた。
賢杜が、イチのことに気がついて、妙案をさずけてくれるのを。
奏多1人ではイチを退けられなくても、賢杜の頭があれば、なんとかなるかも、と。
賢杜なら、あの夜の様子から、何かおかしいと気がついてくれると。
自分の本当の気持ちを少しでも見抜いたあの男なら、なんとかしてくれるかもしれない、と。
所詮それは、甘えでしかなかったようだ。
だが、無意識とはいえ、期待していた分、傷は深い。
「これで気兼ねなく俺と遊べるね。シェアメイトに言い訳してくれる人ができたんだから。」
この男から、逃れる術は、もうない。
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