アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.40 異変
-
〜智夜side〜
1月10日
「もー!!心配したんだよ?!何考えてんのさ!」
「ごめんって…スマホの電源切れててさ…」
「もー…またなんかあったかと思ったし!!」
朝から陽生が奏多にお説教をする中、智夜は奏多をじっと見ていた。
それは奏多のクマと、表情、そして服装が気になったからだ。
「…カナ、お前昨日そのまま外泊したのか?」
「え、あ、うん…」
「ほんとだ、昨日と同じ服…珍しいね?」
「泊まるつもり無かったんだけど、ちょっと遅くなっちゃってさ。」
ははっ、と笑う奏多だが、その顔には疲れが滲んでいる。
智夜が知る限り、お泊まりをするような仲のいい友達は奏多には多くない。
奏多は人付き合いは得意なほうだし、友達はたくさんいるが、泊まりとなれば話は別だ。
それに、ここ数日の話ではあるがやけに顔色が悪い。
昨日陽生にも指摘されていたが、その昨日よりわるくなっている。
聞いても答えてくれないとは思うが、何かを隠しているというのはほぼ確実。
だが、一体何を隠しているのか。
そこまでは智夜にはわからない。
「あ、俺今日はバイトあるから。それと、その前に教授のとこ行きたいから、先帰っててくれ。」
「おっけー!寝不足なら無理するなよー?」
「また熱だすぞ。」
「わかってるよ。2人ともありがとな。」
そう言って笑う奏多。
どこか辛そうなことが、引っかかったが、口には出さなかった。
この時、問い詰めておけばよかった。
智夜は、そう後悔することになることを、まだ知らない。
*
〜悠汰side〜
「なんか、日に日に不機嫌度が増すね?」
「うるせぇ。」
朝一の講義前、明らかに不機嫌顔の賢杜に、悠汰は苦笑いした。
「もうちょっと愛想良くしなさいよ、賢杜くん。」
「うるせえな、気分が悪いんだよ。」
「まーたあのお気に入りの子?」
「そんなんじゃねえって言ってんだろ。」
「ふーん…じゃあ悠汰くんが手に入れてきたあの子の情報もいらないね?」
「……それは聞く。」
これではっきりした。
賢杜のイライラの原因は間違いなくあの子、奏多で、それも賢杜はかなり本気で彼が気になっている。
「最近、あの子女の子と遊んでないみたい。」
「…は?」
「んー、ここ3日4日の話なんだけど。女の子からの誘いを断ってるらしいよ。」
「あの遊び人が?嘘だろ。」
「嘘言ってどうすんの。俺にメリットないでしょ?」
「確かにそうだが…毎日女を抱き歩いてたやつが、ほんとに全くヤってねえのか?」
「そうらしいよ。」
「なんで?」
「さぁ?そこまでは。俺はてっきり、賢杜様に抱かれてるからかと思ってたけどー?」
「…抱いてねえよ。2週間くらい。」
「へー、俺様賢杜様が従わさせられないとは!」
「風邪引いてたから仕方なくだ。」
「…熱ある子を抱いたくせに?」
「うるせえな。」
余程イライラしているらしい。
会話にいつものキレがない。
放つオーラも刺々しいし、黒い。
(困ったねぇ…)
早く何とかしたいものだが、悠汰は奏多のことは顔は知っている、くらいだし、彼から何かを聞き出すことは無理だ。
もちろん、このイライラしている友人から聞くことも無理。
(本人達になんとかしてもらうしかないっすなぁ…)
悠汰はそんなことを思い、道のりは長そうだな、と考えてため息をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
45 / 505