アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.41 奏多の行き先
-
〜智夜side〜
1月19日
「もー、奏多どこ行ったの?!」
新学期が始まって2週間。
テスト最終日で、来週からは春休みだ。
奏多と陽生と、いつものように購買に行こうとしたのだが、昼休みになってすぐ、奏多がいなくなった。
「…最近いつもだな。」
昼休みになると、奏多はいつの間にかいなくなっている。
購買に行ってからの日もあれば、購買までは一緒だったのに気がついたらいない、なんてこともあった。
「うん…なんか、日に日に顔色悪くなるよね?」
「あぁ…」
「先に購買行ったのかなぁ…?」
「見に行ってみるか?」
「そうだね。」
購買、と一口に言っているが、この北林大学には食品の購買と、文具などの購買がある。
食品の購買は、学生食堂と隣接しており、学食のスタッフが作ったおにぎりや、サンドイッチなどの食堂外でも食べられる軽食が販売されている。
智夜たちは学食を利用することもあるが、購買の方が好んで利用していた。
その理由は、サンドイッチにある。
「いらっしゃい。今日も来たの?」
「景山さーん!」
声をかけてきたのは、北林大学のすぐそばで、喫茶REI 78、通称REIを経営している景山(かげやま)。
この景山のサンドイッチが絶品で、それを食べたくて購買に来ている、というわけだ。
もっとも、景山がサンドイッチを売りに来るのは週に2回のため、それ以外は別のものを買ったり、学食を利用したり、学内のコンビニを使ったりしているのだが。
「今日奏多見てないですか?」
「いや、見てないけど…どうかしたの?」
奏多はREIの料理が大好きで、特にジャムサンドが大好物だから、景山が来る日は毎回それを買っている。
ここ以外に昼食を買いに行くのは考えられなかった。
「昼休みになると、いなくなっちゃうんですよ。でも、今日は景山さんが来る日だから、購買行こうって話してたのに…」
「…それに、最近少し様子が変だから。」
「そうなんですよ!」
「変って?」
「なんか、毎日顔色悪くて、寝不足みたいで…昼もいなくなるし…」
「それ、いつ頃から?」
「そうだなあ、新学期始まってすぐだったよな?」
「あぁ。」
「ねえ、他になにか変わったことない?」
景山がそう尋ねてきたとき。
「景山さん!今日のオススメなんですか?」
「私も知りたーい!」
別の生徒達がやって来て、景山が囲まれる。
景山は黒髪長髪で、その髪を1つにまとめている。
顔はいわゆるイケメンで、ナチュラルにウインクを決めてくるような男だ。
決して軽い男、というわけではないが、男女問わずかなりモテる。
「ごめんね、今日は今からちょっと用事があるんだ。木下くん、あと頼んだよ。」
「うっす。」
REIで働く木下(きのした)にあとを任せ、うまく抜けてきた景山。
「で、さっきの続きなんだけど…他に変わったことある?」
「うーん…」
「…一緒に、帰らなくなった。」
「え?でもそれはいつもじゃ…」
「前なら、教授の所に行く木曜日と金曜日以外は、門まで一緒だったろ。」
「確かに…!最近、教授のところに行くって、毎日言ってる気が…」
「テスト前だから、勉強してるとか?」
そう言う景山に、首を振る。
「カナは、新学期始まる前に教わってた。質問が多少あっても、バイトもあるし、毎日は行かない。」
「ふむ…じゃあ、奏多くんの周りに変わった人は?」
「変わった人なんて、内田さんくらいしかいないよねぇ…でも、内田さんのことなら、奏多隠したりしないだろうし…」
智夜は考え込んで、ある恐ろしい結論を思い浮かべた。
「…イチ、は?」
「え?」
「最近、俺たち、あいつ見張るのやめたよな?」
「た、確かに、年内は警戒してたけど、内田さんに気を取られてたり、手出して来ないから、もう平気かと思って…」
「もし、あいつがまだ、カナをどうこうしたいと、思ってたら?脅されて、カナが自分からイチのとこに、行ってるかも。」
「そのイチって子、誰なの?絶対に他言しないから、教えてくれない?」
景山の表情が真剣になる。
陽生の青ざめた顔を見て、ただ事ではないと思ったらしい。
「カナを、レイプしたやつだ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
46 / 505