アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
episode.61 パーティー
-
〜奏多side〜
2月4日
「どこがグレード下げてんの?」
「それ俺も思った。」
パーティー当日。
パステルピンクのワンピースを着た月乃をエスコートしてやってきた会場。
グレードを下げた、なんてとても思えないようなホテルだ。
「まあ、立食パーティーだから…ってことにしよう。」
「そうね…ここで立ち止まってても仕方ないし。」
切り替えは早い2人だ。月乃に腕を掴ませ、ホテル内に入る。
「招待状をお願いします。」
受付で招待状を出し、荷物は貴重品以外預けた。
会場内に入ってすぐ、ウェルカムドリンクがあり、ノンアルコールのものを受け取って、さらに奥に進んだ。
「賢杜はどこ?一応挨拶しに行こうよ。」
「あー、いたいた。あそこだ。」
会場の前方、ステージの方に賢杜はいた。
スーツよりはラフなイメージの格好だが、時計は笹倉グループがモデルを作ったものを使っている。
それは恐らく、招待客の中にいる笹倉グループ副社長への配慮だろう。
ちなみに、奏多はジャケットにチノパンという無難なスタイルを選んだ。革靴もあまり高すぎないもので、いつも使っているものにし、髪の毛は一応ワックスでまとめてきた。
「…わかりました、ではその件については後ほど秘書の成宮(なりみや)から。」
「ありがとうございます。副社長の都合がいい日に合わせますので。」
「はい。連絡も成宮からさせますので。」
「よろしくお願い致します。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
賢杜と、スラッとしたイケメン、それからメガネをかけた真面目そうな男が話している。
「では失礼します。」
隣を通ったイケメンは、なんだか冷たいオーラを纏っていた。
刺々しいというか、人を寄せ付けないというか、そんな感じだ。
偉そうとは違うし、威厳ともまた違う。
「来ていたのか。」
「うん。仕事の邪魔した?」
「いや、問題ない。既に話は終わっていた。」
「誰だったんだ、あの人。」
「笹倉グループの副社長の笹倉傑(ささくらすぐる)さんだ。若い割にしっかりしていた。お前と同い年とは思えないな。」
ふっ、とバカにしたように笑う賢杜にムカついた。
現副社長と、現大学生を比べられても困る。
「知夏と涼は?」
賢杜がそう言った時、入口付近がザワつく。
「ふふ、あれじゃない?」
月乃の言葉に、奏多と賢杜も入口に目をやった。
「わ…美人…」
思わずそう呟いてしまうほどに、入ってきた女性-知夏は綺麗だった。
紺色の落ち着いたワンピースに、ほんの少し巻かれた髪。柔らかいメイクに綺麗な手足。
それをエスコートする涼もまた、きまっていた。
「なんか、スマートカジュアルのパーティーとは思えないね。」
「わかる。」
「涼は知夏の虫除けというわけか。」
「お前、言い方。」
「いや、間違ってないんじゃない?ちーちゃんにたかる虫を排除してくれるんだから。」
「…月乃過激派だね。」
「そう?」
何食わぬ顔をしているけれど、言い方は怖い。
「賢杜。」
まっすぐこちらに歩いてきた知夏と涼。
知夏がふわりと微笑んで賢杜を呼んだ時、半径1メートル内にいた男全員がゴクリとつばを飲んでいたと思う。
「来てくれてありがとう。」
さっと手を取って口付ける賢杜。
本当にここは立食パーティーだろうか。
(王族のパーティーの間違いだろ。)
奏多がそう思ってしまうほどに、その光景はキラキラしていた。
「もう、そんなことしなくていいわよ。」
「いいの。ちーにはこれくらいしておかないと、変なのが寄ってきちゃうでしょ。」
「そーだよちーちゃん。」
「2人とも大袈裟よ。ね、奏多。」
「ううん。今の知夏姉さん、いつもの10倍は綺麗だもん。いつも以上に気をつけなきゃ。」
「えぇ…?」
知夏はあまりしっくりきていないようだが、他の4人は全員同じ思いである。
「まあ、涼がいるなら問題ないだろう。楽しんでくれ。」
賢杜とはそこで別れ、涼たちは大学の友人を見つけたらしく、そこで話し始めた。
賢杜も別の招待客と話している。
「…とりあえずご飯取り行く?」
「そうね。」
奏多と月乃は、話のネタのためにも料理を取りに行くことにした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
67 / 505