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episode.80 後戯
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〜奏多side〜
「水……」
「あぁ、待ってろ。」
珍しく1度で終わったセックス。
ぐったりした奏多をきちんと綺麗にしてくれた賢杜が、水を取りに部屋を出た。
部屋にミニ冷蔵庫も置いてあるが、ちょうどそこの飲み物をきらしたらしい。
程よい疲労感と、射精できたことの満足感。
それによって眠気が少しずつ襲ってくる。
「ほら、体起こせ。」
「ん…」
上半身を少し起こすと、賢杜が体を支えてくれる。
そのまま水を飲ませてくれた。
「……なんだかんだ、面倒見いいよな、お前…」
「…………まあ、兄弟が、いるからな。」
「へー、兄弟いるんだ。」
またベッドに横になり、羨ましいな、と呟く。
「……いたらいたで、面倒なんだぞ。確かに、一人っ子のように寂しくはないがな。」
「弟とかいたの?」
「姉が1人、弟と妹が1人ずつ。」
「へえ…内田のお姉さん、強そう。」
この弟の上に立つのだ。きっと強者に違いない。
「あぁ……」
苦い顔をする賢杜。賢杜の姉は強者で決定だ。
「寝ないの、内田。」
「あ?お前が寝たらお前の部屋に運ぶんだろうが。」
そういえば、そんなことを頼んだ。
この関係を始めるにあたって、抱き潰したあとは必ず処理して、俺の部屋に運べ、と言ったのだ。
だが今日は抱き潰されていない。
「寝れば?お前が一緒に寝てもいいなら。」
そんな気分だった。
ただそれだけだ。
「スペース空けろ。」
「無茶言うな…シングルだぞ。」
「じゃあ来い。」
グイッ、と引き寄せられて、賢杜の腕の中に収まる。
賢杜はそのまま、髪を撫で始めた。
「……なに。」
「まあ、後戯だと思ってくれていい。」
モテる男、奏多にとってはお馴染みの後戯だが、まさかこの俺様賢杜様がやるとは。
セックスの後に、ピロートークをしたり、抱きあったり、髪を触ったり、キスをしたり。
または軽い愛撫をしたり、そういったものを後戯と呼ぶ。
「お前、そんなことすんの……」
いやらしくはないが、なんとなく気持ちいい触り方。
耳をそっと撫でられ、それからまた頭を撫でられる。
「お前は恋人だからな。」
「……前の恋人にも、してたんだ……」
意外だ。
心地よい温度に、眠気がさらに襲ってくる。
話すのがおっとりとして、まぶたが重くなってきた。
「お前だけだ。」
「……ふーん…」
そのせいで、そのまま聞き流してしまうところだった。
「……え?俺だけ?なんで?」
急に目が覚めて、そう尋ねる。
「別に。」
「別にって何、ねえ、気になるじゃん。」
「うるせえとっとと寝ろ。」
ぽふっ、と毛布をかけられ、絶妙なタイミングの背中ぽんぽんをされて、また眠気がやってくる。
そう、眠かった。
これは、眠かっただけだ。
「おまえさ……」
「なんだよ。」
「おまえはさ、かわらないでよ。」
「は?なにが……」
「ずっと、かわらないで。」
そうやって、俺様で、たまに優しいことしてびっくりさせて。
このままずっと。
この、関係を。
ぬるま湯のような、この関係を続けてくれよ。
奏多は、どこまで言葉にできたか分からないまま、眠りに落ちた。
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