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性活指導編『第4話』
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放課後。夏樹は覚悟を決めて市川と対面した。
「先生、大事な話があるんですけど」
「ごめん、夏樹。今日は職員会議があるんだ。その後でいい?」
「……ええ、まあ……」
「じゃ、空き教室で自習して待っててくれよ。終わったらすぐ迎えに行くから」
「…………」
「にしても、よかった~。会議長引いちゃったら、一緒に帰れないかもと思ってたんだ。お前が待っててくれるなら面倒な仕事も頑張れるよ。なるべく早く終わらせてくるからな」
さも嬉しそうに笑いかけてくる市川。その笑顔は、まるで子供みたいに純粋で無垢だった。これから別れ話を切り出されるなんて、微塵も考えていないようだった。
(先生……)
そんな顔を見ていたら、急に胸が痛くなってしまった。
「……先生、あの……」
「おっと、もう時間だ」
二の腕を引かれ、市川の胸に収まったかと思ったら軽くキスされた。触れるだけの短いもので、すぐにパッと解放された。
「じゃあ夏樹、また後でな」
「……っ……」
どうしようもなく胸が痛み、夏樹は顔を俯けた。何故か泣きそうになった。
なんでこういうことするんだよ。別れようとした決意が鈍っちゃうじゃないか。これ以上俺を惑わせないでよ。俺はもう、あんたに絆されたくないんだよ……。
唇を噛んで、ぐちゃぐちゃした感情を無理矢理抑え込む。本当は市川を叩きながら思いっきり感情をぶつけてやりたかったけど、彼は既に職員会議に行ってしまっていた。
(先生のバカヤロー!)
お決まりの空き教室に入り、乱暴にドアを閉める。机のひとつに腰かけ、頭を抱えながら溜息をついた。
「どうしよう……」
……なんだか、全く別れられる気がしない。
市川はあの通り、別れ話をされるだなんて毛ほども考えていないし、これからも夏樹とイチャイチャできると思っている。夏樹が話を切り出したところで冗談だと笑い飛ばす可能性は高いし、まともに取り合ってくれるとは思えなかった。
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