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プール編『第11話』
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前屈運動をしていたら、市川が感心したように口笛を吹いた。
「それにしても夏樹、ホントに身体柔らかくなったよな。どこまで脚開くようになった?」
「とか言って、また変なマッサージするつもりでしょ。その手には乗りませんからね」
「いやいや、ホントに感心してるんだって。一八〇度開脚できるようになった?」
「……少しだけですよ?」
夏樹はプールサイドに座り、脚を一八〇度に開いて上半身を前にぺたんと倒した。
「おおっ、すごい! めっちゃ柔らかくなってる! 前は九〇度くらいしか脚開かなかったのに」
「一応、努力してますからね」
身体を柔らかくしておかないと市川に抱かれる時、脚が開かなくて大変なのだ……という理由は、絶対に言わないけれど。
「うんうん、偉いぞ。お前のそういう努力家なところ、俺は好きだ」
「…………」
「じゃ、そろそろ入ってみるか」
言われた通り、夏樹は足からゆっくり水に入った。ちょうどいい水温が夏の日差しを打ち消してくれて、かなり気持ちよかった。
「で、お前どこまで泳げるんだっけ?」
「は?」
「いや、だからプールさ。クロールで二十五メートル一本は泳げるの?」
「…………」
泳げるわけがない。水の中で目も開けられないのに。
「……カナヅチですけど何か?」
口を尖らせて答えたら、市川に「マジか」とちょっと苦笑された。
猛然と腹が立って来て、夏樹は彼にバシャッと水を引っ掛けた。
「もう! だから嫌なんですよ! 運動苦手なことを馬鹿にしないでください!」
「してないって。運動苦手でもプールは大丈夫ってヤツも多いから……」
「悪かったですねっ、プールもダメで! もういいですっ!」
勢いよくプールから上がりかけたのだが、市川に足首を掴まれ、プールの淵でもがく羽目になる。
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