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癒し
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『癒しが欲しい。モフらせろ』
疲れた様子の生徒会長に言われた。自分は人間で動物じゃない。
アニマルセラピー効果なんてない。
そう言う前に手を引っ張られ、膝に座らされた。文句を言う前にギュッと抱き締められ頭を撫でられた。
撫で方が非常にうまい。
「会長、僕は人間で撫でても癒されないと思います。せめて可愛いあなたの親衛隊の子達にしてはいかがですか?」
髪をすくように撫でている会長にそう問い掛けた。
「親衛隊だと嫉妬とかで面倒だろう。書記は俺よりデカイし、会計はチャラいし、庶務の双子は二人一緒に撫でないとキレるし、副会長のお前がモフるのには一番だ」
双子をすでにモフったのかと呆れた目で見てしまう。会話中でも彼が言うモフるのは止めていない。
頭を撫でられるのはいつぶりだろう。
「モフるって会長は動物が好きなんですか?」
「実家に犬が6匹、猫が9匹。ハムスターやら小動物や鳥類も多数。忙しくて帰れてないから増えてるかもな。モフ以外だと鯉にも癒されていた。ワニを飼おうとした時はさすがに止めた」
「……多いですね」
会長の撫でる手が止まった。
「はぁぁぁ、面倒くせぇ。転校生滅びろ。何で高校生にもなって窓ガラスが割れる事態になんだよ」
人の肩に顔を埋め、愚痴を溢す会長が今度は両手で腰を締め付けてきた。
いい加減、はなして欲しい。
「ドアも壊されたと報告が風紀から来ました。運良くまだ人に怪我をさせる被害はありませんが……時間の問題かと」
「はぁ……、風紀が監視しててその被害ってのは厄介過ぎる。対策として生徒会から転校生の指導役として出したあいつらは帰って来ないし」
「持ち帰って仕事はしてるみたいです。付きっきりで教えなさいとは言ってないのですが……僕達は忙しくてどうなっているか把握できていませんね」
「転校生が無駄な仕事を増やすからだ。黒マリモ滅びろ」
転校生はマリモヘアーに瓶ぞこ眼鏡をしている。転校前に見た履歴書は可愛い美少年タイプだった。会長の親衛隊員に入れそうな。容姿では隊長や副隊長や幹部の方が数段上。性格も素晴らしい。
まぁ会長の親衛隊だから当然なのだが。それより――
「そろそろモフるの止めて下さい」
「あと五分!!」
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