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『狂気』
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「ゴフッ」
壁にぶつかり全身を打ち付けた男に歩み寄りながら剣を抜いた。
穢らわしい血を吐き苦しむ無様な姿に笑みが浮かぶ。
「輝く銀糸の髪も……白磁の身体も……なやめかしい唇も……神秘的な銀眼も……美しい声も……全て私の」
不愉快なうわ言を繰り返す男の口に、剣先をねじり込ませ声を閉ざす。
「まずその口を潰すか」
楽に死ねると思うなと言い捨て冷笑する。男の耳には届いていない。目線を動かしリアを捜そうとしている姿に殺意が溢れる。
ピシッピシッと鳴る亀裂の音、遠くから揺れに怯える悲鳴が聞こえる。
怒りと殺意が溢れて止まらない。
真っ黒に染まった心がこの男を消す以外の思考を無くした。
自分が放っている闇魔法の霧が威力を増していく。息を吸うのも辛いだろう。もっともっと苦しめ。
「……に……さ」
弱々しい小さな声。
リアの姿を見て我に返り、部屋の揺れが一瞬で止まった。
「ふぇ……にぃさ」
ポロポロ涙を流しこちらを見詰め必死に両手を伸ばしている。
「リア」
リアの存在は人を狂わせる。
自分もその一人だと部屋の惨状が物語っていた。
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