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裕梨と氷河の遠距離話
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裕梨さんが仕事で遠くに行ってから、もう一年が経った。
そしてようやく明日、帰ってくる。
一年間会えなかったのだ。
やりとりといえばメールだけ。夜が遅いから通話なんて出来なかった。
楽しみといえば、楽しみだ。
やっと裕梨さんと会えるんだから、
また触れられる、また声が聞ける。
けど、それ以上に不安だ。
高校一年の成長は大きすぎるくらいで、
背も、声も顔立ちだって、裕梨さんと一緒にいた時のものとは全然違う。
裕梨さんは僕の見た目に一目惚れした
可愛い、と何回だって言ってくれた
裕梨さんは性格も見てる、そんなこと分かってる。
けど、それでも、裕梨さんが求めてくれた可愛いは今の僕には無いんだ。
もし拒否られたら、もし好きじゃなくなったら
嫌だ、会いたくない、
『ごめん、明日会いたくない』
そうやって、傷つけることも考えずに
一言送ってしまった。
『なんで?』
返事は早かった
『会いたくない』
『だから、なんで??オレの事、きらいになった??』
『違うよ、好きだよ、でも、嫌だ』
返事は来なかった。
嫌われたかな、そう考えると涙が出てきて
どうしようもなく、自己嫌悪に陥って。
ピンポーン、インターホンが鳴った。
あれから寝てたんだ、三時間ぐらい過ぎてる。
こんな時間に誰なんだ、と少しイライラしながらドアを開けた。
「ひょーが」
「……ゆ、うり、さ」
目の前に映るのは、前よりも髪が伸びていて
何倍もかっこよくなっていた裕梨さんで、
一年間で、こんなにかっこよくなったんだ
そう泣きそうになって、ふと我に返る。
裕梨さんが成長しているのと同じで、
僕は、可愛さが無くなった。
今のままの姿で受け入れてもらえるわけがない、
ドアを閉めた。
「ちょ、ひょーが?どうして閉めちゃうの!」
「会いたくない、って」
「なんで、オレはひょーがに会いたい、
顔見たい、ギュってしたい、ダメなの?」
「僕だって、したいよ、
一年間も会えなかったんだ、ずっと話してたい、」
「じゃぁ、いいじゃんか!」
「でも、僕は、もう可愛くないんだよ
聞いててわかるでしょ?声だって低くなった
背だって伸びたし、顔だってあの頃みたいに子供っぽくないよ
裕梨さんは、ずっと可愛い可愛い言ってたから、
じゃぁ、可愛くない僕は、どうすればいいの
嫌われたくない、裕梨さんに好きでいてもらいたい、怖い、嫌だ」
「……氷河、開けて。」
裕梨さんの声は、いつもより低く大人しく
怒ったんだ、そう確信した。
喧嘩なんかしたくない、僕はドアを開けた。
裕梨さんの顔を見ると、涙が止まらなくて。
好きだって、抑えられなくて
けど嫌われたくなくて、
「裕梨さ「ひょーが、大丈夫」
口を開くと同時に、強く抱きしめられた。
「背ぇ伸びたね、声変わりもしたね、
顔も大人っぽくなった。」
「うん、ごめ、ごめん」
「けど、可愛いよ。
別にオレショタコンじゃないし背なんて関係ないからね?
それに声だって、ちょっと低くはなったけど
氷河のままだし
顔だって大人っぽくなったけど、前よりもっと綺麗になった。
全部可愛い氷河のままだよ。
むしろ、前より可愛くなってる。
けどそれより、そうやってオレに嫌われるのが心配で泣いちゃう氷河が可愛いよ。
氷河が好きだから、オレは何でも可愛いって思っちゃう。
確かに最初は一目惚れだけど、多分今氷河に会っても一目惚れしてた
それに今は、はじめましてじゃないでしょ
氷河のこと、いっぱい知ってるんだ
見た目がちょっと変わったぐらいで
嫌いになる理由になんかならないよ
ね?だから、大丈夫。泣かないで?」
「ん、裕梨さん、好き、っだい、すき、」
裕梨さんは更に強く僕を抱きしめる。
僕は、それに応えるように
強く抱き締め返した。
「おかえりなさい、裕梨さん」
「うん!ただいま、氷河!」
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