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act.1-15.今は俺の負け
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【side夏】
葵の説明を咀嚼する。結論、どう考えても納得はできない。もう少し詳しく聞かないと納得しようがない。
「それって…………って、いねぇ!?」
さっきまで目を泳がせて言い訳っぽい説明をしていた葵が、ストローの噛まれたいちごオレのパックだけを残して姿を消していた。
してやられた。葵はもともとこういうタイプだ。最近の外面の良さのせいで忘れていたが、あいつは昔から都合が悪くなるとうまいこと逃げ出す。
「なんだかんだ変わってねぇなぁ……」
本当は弱虫の葵。小さい頃は俺を怒らすといつもすぐ逃げて、おばさんの後ろに隠れて、ひょこひょこと顔を出してはまた隠れてを繰り返して、俺が諦めるのを待ってる。
「まぁ、いいか」
寝ぼけやったことだとか、正直ちょっと疑わしいけど、話したくないならそれでいい。
俺は昔と変わらず、気にしてないふりをして、あきらめたふりをして、いつか話してくれるまで待つだけだ。俺の諦めの悪さはお前も知っての通りだし
(今は俺の負けにしといてやるよ、葵)
探そうと立ち上がった椅子にもう一度座って、スマホゲームに勤しむ。どうせ葵は休み時間中は帰ってこないだろう。
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