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一ヶ月ぶりに外に出た。
多分、もう一人で出歩くことはなくなるんだろう。それでも、僕はポチでありたい。
彼に愛されたいし、彼に惜しみのない愛を注ぎたい。
僕を救ったのが彼だから、彼を孤独から救いたい。
ポチでしかいれないけどいつか菜月として愛されたい。
あまりない時間を見ながら、彼が昼代として置いていったお金で大学の学食を食べた。
あまり、彼とは会話しないけど彼の意図がとてもよく最近は伝わってくる。だから、殴られるのも蹴られるのも初めに比べて恐怖が減った。それでも、痛いし怖いけど……。
大学事務室に退学届けを出しに行く。
「佐柳 菜月さん、退学理由ですが………」
事務室の人の質問に対応しながら退学届けを提出した。1年生と言うこともあって知り合いやお世話になっている教授もいないため、すんなりと大学関係は終われた。
時計はもう一時を指していてあまり、時間は残されていない。
親と縁を切るといっても元々そんなに関係は良好でない。母親は死んでるし兄弟もいない。
実家は大学の近くの小さなアパートで、部屋の中に入ると部屋は荒れ放題だった。
「なにこれ………父さん?いるの?」
「菜月か、やっと帰って来やがった。さっさと掃除して飯つくれよ」
「……また、お酒のんでるの?」
「うるせぇ!黙れ。さっさと片付けろよ」
「…………もしかして、またお金借りたの?」
「だったら何だってんだよ」
「……父さん、親子の縁切ろう」
「はぁ?何言ってんだ。菜月頭おかしくなったか?」
今日の食事代と一緒に彼の机の上には養子縁組の書類があった。多分、彼の養子になれってことだと思う。
「ある人の養子になりたいんだ」
「……菜月てめぇ、ふざけんなよ」
容赦なく殴られ、ふらついた。
バランスを崩した僕は地面に倒れ、そこにあったテーブルの角に頭を打った。
視界がぼやけて、そこで意識が途切れた。
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