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幼馴染
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母親と喧嘩した。
きっかけは些細なことだ。そこから、大声で言い合いになってしまい、耐えきれずに家を飛び出した。
外はあいにくの雨。
勢いで出たから、財布もケータイも家に忘れた。
「あー・・・最悪・・・・・」
雨の勢いも強くなってきて、すでに濡れネズミ状態だ。
しばらく呆けていると、後ろから頭をはたかれる。
振り向くと、幼馴染の智昭(ともあき)だった。
「何でこんな濡れたまま突っ立ってんの玲(あきら)?」
「・・・・・」
ジト目で見つめると、何か思案する素振りをしてから、「あぁ・・・」と一人で納得してる。
いや、一人で納得してんなや。
そう心中で突っ込む。
それを見透かしたように、智昭が話す。
「おばさんと喧嘩したのか」
「っ・・・・」
「図星か」
少し苦笑しながら、豪快な外見に豪快な性格をしてる幼馴染は、俺の頭をぐしゃぐしゃする。
傍からみたら、やくざっぽい人に絡まれてるヤンキーなんだろうな・・・とか、どうでもいいことを思う。
自分が茶髪にピアス、アクセサリーもジャラジャラつけていてヤンキーっぽく見えるのは自覚している。
「とりあえずウチ来いよ。雨もまだ止まないだろうし、家にまだ帰りたくないんだろう?」
そう言って、傘の中に招かれる。
おとなしく従って、智昭の家まで行く。
と言っても、歩いて5分ほどの距離だ。なんて短い家出ルートか。
智昭の家に着くと、玄関で待たされ、タオルを渡される。
かんたんに水気をふき取ると、そのまま風呂場へ連行。
「いったんシャワー浴びて体あっためろ。」
そう言い残して、下着と服を一式、それとバスタオルを置かれる。
何度も泊まりにきているので、俺の服も置いてあるため、すぐに出てくるのだ。
今は何も言い返す気力もないので、そのままシャワーを借りる。
母親と喧嘩すると、いつも疲れる。というより無気力になる。
片親だから、大切にしたいのに喧嘩となって、罪悪感に襲われる。
シャワーから上がると、智昭はリビングでスマホを操作していた。
テーブルにはココアが置いてある。
「・・・ありがと」
少しぶっきらぼうな言い方になったが、智昭は気にした風もなく、「おぉ」と返ってくる。
座って飲んでると、真正面に智昭が座り、穏やかにこちらを見てくる。
この幼馴染は、いつもそうだ。俺に何かある時、必ずこっちが言ってくるまで待つんだ。
ココアで少し気分が落ち着いてくる。それから、ポツポツと話し出した。
「・・・俺、バカで気が短いから、さ・・・」
「うん。」
「かつあげされてる人を見かけて、止めようとして、喧嘩になって・・・・」
「うん。」
「少し腕けがしたら、母さんがすごい心配してきて、無性にイラついて・・・口論になって・・・」
「家を飛び出したんだな?」
「うん・・・」
「バカか」
「う・・・はい・・・・・」
「一人だけの肉親に心配かけたお前が悪い。」
「うん、そうなんだけど・・・」
「玲。」
名前を呼ばれて言葉を遮られる。
「おばさんにちゃんと謝れ。どうせ、ケガした理由も言ってないんだろ?理由もちゃんと言って、謝るのがいいと思うぞ。」
きつめの口調ではあるが、怒っている感じがないのが不思議だ。
「・・・・わかった。でも、明日じゃダメ、かな・・・?」
口喧嘩して出た手前、すぐ戻るのがこわい。
そう告げると、智昭は苦笑した。
「そう言うと思って、おばさんには泊まるとこは伝えてある。」
「はっ?!」
スマホを軽く振る智昭の顔を見て、俺は苦虫を噛んだような顔になっていたと思う。
さっき操作していたのは、母さんへか・・・。
あぁ、でも。
こういうところは、幼馴染って感じがする。
翌日。
母さんとは無事仲直り。ケガした理由を伝えたら、「しょうがない子ね。」と言って頭を軽くたたかれた。
ちなみに、智昭にもついてきてもらった。二人で会うのが気まずかったから。
「ヤンキーそうなのに、トモくんにはべったりよね、玲は。」
「そうですね。」
「んなことねーよ。ってか、笑いながら肯定すんなバカ。」
腹を殴ろうとすると先に腕を抑えられる。
そんな様子を見て、「仲いいわね」と笑う母さん。
「いっそのこと、付き合ったら?」
「なっ?!?!?なんてこというんだよ母さん!!」
「あら?私は息子が二人になってもうれしいわよ」
「よし、じゃあ付き合うか。」
「「はい??」」
笑っていた母さんがきょとんとなり、俺は固まる。
意外と真摯な目をむける智昭と向かい合ってしまう。
「玲、オレとこれからも一緒にいてほしい。」
・・・・あぁ、だめだこれ。全身熱い・・・・・。
親公認で付き合うまで、と・・・・・。
END
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