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大人になりたい
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俺は三ヶ月ぶりにあのベンチに座っていた。
くっそ。
あのバカ先輩。
毎日毎日、俺にばっかり残業させやがって!
明日、休みなのを良いことに缶ビールをしこまた買い込んでベンチに座った。
一つ目のビールのプルタブを開けると俺はいっきに半分飲み干した。
あー、イライラする。
つまみに買ったイカの燻製を歯で引きちぎる。
しかし、あの小学生、流石に来ないよな?
なんだか分からないが、このベンチに座った瞬間に諒太と名乗った小学生のことを思い出す。
「よぉ、隆臣。またなんか落ち込んでんの?」
「来たな、謎の小学生。」
「俺、もう小学生じゃないから。今月から中学生だから!」
あーはいはい。
俺にしたら小学生も中学生も変わらんわ。
「そうですか、ご入学おめでとさん。」
「くっそ。すぐに大人になってやるから!見てろ。」
「ははは。諒太君はなんでそんなに大人になりたいの?」
「はっ?!そんなの決まってんだろ。あんたが俺を子供扱いするからだよっ!」
「なにそれ?(笑)」
俺がどうこうって関係あるの?
「どうせ、今の俺が何言っても本気にしないんだろうけど、あんた鈍そうだから言っとく。」
へ?
何?どうしたの?
あまりにも真剣な目をするからなんだかドキドキする。
「俺、隆臣が好きだから。」
「へ?」
意外な言葉に俺は咄嗟に間抜けな声を出してしまう。
「す、好きって。」
好き?Like?Love??
「ま、そういうことだから!」
ちゅっと。
一瞬だけ頬に触れるようなキスをされる。
「え?え?」
俺は頬を押さえて赤面する。
諒太君も顔を赤くしてがばっと豪快に立ち上がる。
「帰る!」
諒太君はいつもみたいに公園の入り口へ駆け出し、やがて暗闇へ消えていった。
す、好きってどういうこと?
そ、そういうことなの?
俺の頭ははてなマークでいっぱいになっていた。
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