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不安と期待
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諒太君のサッカーを見に行くと約束した日がとうとうやってきてしまった。
たまたま近くを通りかかったらサッカーの試合がやっていたのでちょっと見ていこうかなーという呈を装って、少し離れた堤防に腰かける。
諒太君の姿を探す。
居た。
チームメイトと作戦でもたてているのだろうか。
真剣な表情。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけかっこいいとか思ったりして。
ほどなくして、ピーと試合開始のホイッスルがなる。
俺まで緊張してきた。
試合の行方はもちろんのこと、俺の知らない諒太君の姿が見れるということに少なからずわくわくしていた。
「諒太くーん、がんばってーー。」
前方から黄色い声が聞こえる。
はっとしてそちらを見ると、同級生とおぼしき制服をきた女生徒が数人、タオルを振り回して応援してる。
あの子達は、諒太君の応援に来たのかな。
なんだ、諒太君、もてるんじゃないか。
現実を突きつけられていっきに不安が押し寄せる。
同じ年頃の子で諒太君を好いてくれている子達がいる。
それなのに諒太君は俺みたいなくたびれた大人を好きだと言って。
俺のどこがいいのかさっぱり分からないし。
俺が、俺さえ居なければ彼に普通の恋愛をさせてやれるんじゃないか。
そんなことを思ったりして。
一瞬、帰ろうかと腰を上げた。
そのとき、大きな歓声が上がった。
ゴールが決まったのだ。
点を入れたのは諒太君だ。
凄いっ!
俺は上げた腰をもう一度下ろす。
もう、彼から目が離せなかった。
それからの諒太君のチームは勢いを増し、あれよあれよという間に点を稼ぎ、勝利してしまった。
試合終了のホイッスルがなる。
相手チームは地面に項垂れ、諒太君のチームは諒太君を囲んで大盛り上がりだった。
俺はそれを横目にそっと立ち上がった。
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