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拒否反応
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定時が過ぎ、回りの社員はぽつぽつと帰宅を始める。
俺は誰さんの置き土産のせいで、定時退社が出来なかったどころか全然終わる気がしない。
当の本人は、たばこやら会議やらで殆どデスクにいなかったので今日こそ文句のひとつも言ってやろうと意気込んでいたのにさっぱりあてが外れてしまった。
イライラしながらキーボードを叩く。
「あっれー?藤まだいのー?」
ふざけたテンションで俺の名前を呼ぶのは、憎き沢木!
今日こそガツンと言ってやる!
「誰のせいだと思ってんですか!」
「え?何?怒ってんの?まったまたぁー。お前、俺にこき使われるの好きだろー?」
「はっ?!何言ってるんですか?」
何こいつ。
控えめに言っても頭おかしい。
「いつも俺のために身を削って働いてくれてるじゃねーか。あれだろ?お前、俺のこと好きなんじゃねーの?」
くすくすと笑って。
俺の肩を掴む。
「止めてください。」
その手を振り払う。
「おい、何、急に怒ってんだよ。」
沢木さんも少しイライラした様子で俺に詰め寄る。
「俺に逆らうのか?」
「この際だから言いますけど、いつも迷惑だと思ってました。もう、こういうの止めてください!」
沢木さんの表情は怒ってるのか泣きそうなのかよく分からない。
「このっ!」
再び肩を捕まれ、無理矢理沢木さんの方を向かされると、何を思ったのか俺にキスしやがった。
俺は反射的に沢木さんを殴っていた。
キスされる瞬間、俺の頭に諒太君の顔がよぎって罪悪感に捕らわれた。
口元を袖でごしごしと擦る。
諒太君とは違う。
タバコ臭い。
嫌だ。
「も、帰ります!」
俺はパソコンの電源も落とさず、鞄をひっ掴むと沢木さんを突き飛ばして逃げるように会社を出た。
気がつくと俺はあの公園のベンチで一人泣いていた。
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