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好きなんだ!!
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キリキリと異が痛む。
昨日、片付けもしないで慌てて会社を出てしまったので、いつもより早目に出社する。
つけっぱなしのパソコン。
出しっぱなしの資料。
開けっぱなしの袖机。
これ、上司に見つかったら怒られるなー。
こそこそと資料の整理をしていると、フロアのドアが開く音がした。
誰だよ、こんな早くにとそちらを見ると、沢木さんだった。
一番会いたくない人。
「んなっ?!」
おはようございます、という挨拶の前に不満たっぷりの声がうっかり漏れてしまう。
「ははっ。すっかり嫌われたもんだ。」
すっかりっていうか、最初からですけどね。
俺は沢木さんの存在を無視するべく、片付けを再開する。
「なぁ。話、あんだけど。」
「なんですか!」
あ、やば。
クソみたいな先輩でも、この人先輩だった。
ちらりと沢木さんの方をうかがい見ると、いつになく困ったような悲しそうな顔をしている。
ちくり、と胸が痛む。
なんで今日に限ってそんな顔をするんですかっ。
あんたいつももっと横柄な態度じゃないか。
「ここじゃちょっと。屋上、来て欲しい。」
って言い残すと俺の返事も聞かずにフロアを出ていく。
っあぁっ!!もうっ!
仕方がないなぁ。
イライラしながらも俺は屋上へと向かう。
「なんですかっ!!」
怒り任せに屋上のドアを開ける。
沢木さんは一人、屋上の手すりにもたれて遠くを見ていた。
「あはっ。来てくれたんだ。」
手すりから手をはなし、こちらに向き直る沢木さん。
「手短にお願いします。」
「昨日はごめん。なんか無意識にあんなことしちゃった。」
「はぁ、そうですか。」
何それ、意味わからない。
「俺の言う事、文句のひとつも言わずにやってくれるお前に甘えてた。なんていうか、お前は絶対俺に逆らわないって勝手に思ってた。」
俺のこと馬鹿にしてんのか、この人。
まぁ、逆らわなかったのは事実だけど。
自分でもお人好しすぎたなと思わないでもないけど。
「昨日、お前にキスして気づいたわ。俺、お前の事好きなんだ。俺と、付き合わない?」
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