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変わっていくもの
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「隆臣。久しぶり。」
12月に入ってからますます寒くなってきた。
それでも俺は定期的にあの公園のベンチに通った。
諒太君に会えるのは俺がベンチに座る3回に1回くらい。
それでも、今日は会えるんじゃないかって少しだけ胸がざわつく。
今日は会えた。
俺は缶ビールをあける。
「勉強、どう?」
「いい感じ。一応、A判定。」
「凄いね。」
嬉しい反面、なんだか寂しくなっちゃう。
ごくりとビールを飲み込む。
火照った肌に寒い空気が心地よい。
こうやってここで過ごせるのもあとわずか。
「もしかしたら推薦でいけるかも。」
「そっか。」
「早めに決まれば、もっとここに来れるよ。」
「それは楽しみ。」
「本当に楽しみにしててくれる?」
「もちろん。」
「俺、頑張る。」
隣に座った諒太君がじっと俺の顔を見て、ベンチの上に置いておいた俺の手の上に自分の手を重ねる。
「諒太君?」
その行動にどきっとする。
最近の俺は諒太君の行動にいちいちドキドキしてる。
どこかおかしいのかもしれない。
「隆臣のパワー分けて?」
乗せられた手に体重がかかる。
諒太君の顔が近づいてきて、そのまま触れるようなキス。
「充電完了!勉強に戻ります!」
すくっと立ち上がると諒太君は俺に元気いっぱい手を振ると公園を出ていった。
なんという嵐のような男。
こういうとこは出会った頃と変わらないなぁ。
だけど、着実に俺たちの距離は変わっていってる。
なんとなくそれが不安になるときもあるんだよ。
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