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残りの日々をどう過ごすか
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「受かったよ。」
諒太君からそんなメッセージが送られてきたのは、秋に差し掛かる頃。
「おめでとう。」
俺は表面上はお祝いの言葉を返信しつつも、寂しい気持ちでいっぱいだった。
「今日会える?」
諒太君からこんな風にお誘いを受けるのは珍しい。
こうやって携帯でやりとりできるようになってからも、会うのは俺があの公園にいって、それを見つけて諒太君が来てくれるっていう流れ。
「うん。今夜、仕事帰りに公園寄るよ。」
そう返事をして、携帯を鞄にしまう。
「お、疲れー!」
ばしっと肩を叩かれる。
「ちょ!乱暴するのは止めてくださいよ!」
相変わらず会社では沢木さんにちょっかいを出されていた。
「お前、昼まだだろ?休憩、いこうぜ!」
「うーん。今日は早目に帰りたいので、もうちょっとキリのいいとこまでやってからにします。」
「あんま根詰めると進捗悪くなるぜ。休むときは休む!」
まぁ、それもそうかな。
「…ですね。昼、行きますか。」
会社を出て、いつもの定食屋でいつものメニューを注文する。
「なんか、あった?」
そんな風に沢木さんに聞かれ、自分の憂鬱加減が顔に出てたかなと両手で顔を揉みほぐす。
「なんか顔に出てました?」
「いや。さっき、携帯見ながらでっかいため息ついてたから。」
「あー。まぁ、そうですね。」
そんなとこ見られてたのか。
「あの子と上手くいってないの?」
「嬉しそうですね。」
ニヤニヤと笑いながらそんな質問をしてくる。
面白がってんのか?
「そりゃ、な。俺にもチャンスが与えられるかもしれないし?」
ないない。
「上手くいってない訳じゃないです。」
ただ、遠くに行ってしまう彼に寂しさを感じているだけ。
しっかりしないとなぁ。
俺、仮にも年上だし、大人だし。
寂しいとか言ったら子供っぽくてカッコ悪いよなー。
とか、ぐるぐる考えてしまう。
「そ。残念。」
運ばれてきた料理に手をつけながら、沢木さんは本当に残念そうな顔をする。
この人が俺を好きになってくれてるのも不思議なんだけどね。
ずっと断り続けてるのに。
「沢木さんは凄いですね。」
「え?急に何?」
「ずっと俺、ラブじゃないですか。」
「喧嘩売ってんの?」
「そういう訳じゃないですけど。」
「ま、俺も大概だよな。これが報われない恋ってやつ?」
って、自分ごとなのにヘラヘラ笑ってて、凄いと思う反面胡散臭さも感じちゃうんだよな。
「でもお前見てるといつも危うくてほっとけないっていうか。」
「はぁ。」
「俺のもんになればもっと大事にしてやるのになー。」
って見たこともないような優しい顔で笑うから、不覚にもトキメいてしまったのは内緒だ。
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