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1日が早すぎて
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諒太君の合格が決まってからは、あの公園にいくと必ずといっていいほど諒太君が来てくれた。
他愛ない会話をして、ときには触れるだけのキスをした。
刻一刻と時間は過ぎていく。
やがて、冬が来てパラパラと雪が舞いはじめた。
「今日は寒いね。」
はぁっと手に息を吹き掛ける。
「俺の手、結構暖かいと思うよ。貸して。」
俺の両手を諒太君の手が包み込む。
「あったかい。」
「ね、隆臣が寒くなったら俺がこうやって暖めるから。」
包み込んでいた手が徐々に指を絡ませ、俺の手を握るとぐいっと諒太君の方へ引き寄せられる。
「わっ。」
態勢を崩して諒太君の胸にすっぽりと収まってしまった。
腰と背中に腕を回され抱き締められる。
「もう、俺、小学生じゃないんだよ。こうやって隆臣を抱き締めることだってできる。」
「うん。」
すっかり低くなった諒太君の声。
耳元で小声で話しかけられるとゾクゾクする。
「隆臣からみると、俺ってまだ子供かな?」
「そんなことは…ない…けど。」
もう随分前から子供だなんて思ってない。
逞しくなった体に、低くなった声にドキドキさせられている。
「俺、もっと頑張るから。かっこいい大人になる。」
「もう、充分かっこいいよ。」
「そ、そんな風に誉めてくれるの初めてだよね。興奮した。」
「ちょっ、興奮て。」
慌てて諒太君から離れようとする。
「大丈夫、何もしないよ。だから、もう少しこうさせて。」
俺たちは時間が許す限りそうしていた。
やがて、道端の雪がとけて暖かくなってくると、諒太君は高校を卒業した。
諒太君は俺に制服のボタンを持ってきてくれた。
なんか、こういうイベントをすっかり忘れていただけに凄く嬉しくなった。
卒業式の日に好きな人のボタンを貰う女子ってこんな気持ちなのかな。
なんて、乙女な事を思ったりして。
でも、遠くに行ってしまう彼にちょっと胸がざわついたりもした。
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