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重ねて
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ベッドの上で俺たちは初めて体を重ねた。
貪るように。
何度も何度も。
「あぁ、もう。離したくない。なんで俺はまだ学生なんだろう。」
沢山、沢山キスをした。
「ちゃんと待ってるから。焦らないで。」
「うん。」
帰り際、名残惜しそうに俺の手を離した諒太君。
「ばいばい。また、ね。」
車窓から見える、俺を見送る諒太君の姿が小さくなって、やがて消えた。
そして、夏が来て、秋が来て、冬がきて。
何度繰り返しただろうか。
ある日の土曜日、惰眠を貪っている俺の枕元に置いてある携帯電話が鳴った。
「ん〜〜。誰だよー。」
ディスプレイに映し出された名前は『諒太』。
諒太君だ!
「も、もしもし??」
慌てながらも、半分くらい寝ぼけたままで電話に出る。
「就職、決まったよ。」
第一声がそれだった。
「卒業したらそっちに戻るから。」
「え!?」
まさか、こっちで就職先を探してたなんて。
諒太君が近くに戻ってくる。
寝ぼけ気味だった俺の頭はクリアに冴え渡る。
俺は布団から飛び起きて、ベッドの上に正座する。
「そ、そしたらさ。お、俺と……一緒に暮らさないか?」
「……。」
ずっと言おうと思ってた。
電話の向こうの諒太君は無言のまま。
何か言ってよー。
ドキドキと心臓が痛い。
「ねぇ、隆臣。それって……俺を恋人と認めてくれるってこと?」
「……そうだよ。」
「……嬉しい。ありがとう。」
感謝の言葉はこっちのセリフだよ。
「もう、ずっと前から。俺、諒太君の事が好きだったよ。」
「うん。知ってる。だけど、不安だった。ちゃんとした言葉が欲しかった。」
「ごめんね。」
「俺、年下で頼りないかもしれないけど、もっともっとかっこよくなるから。」
「うん。楽しみにしてる。」
「今すぐ会いたいよぉ。」
「会いに、行くよ。今すぐに。」
電話を切ると俺はすぐに出かけるしたくを始める。
何度も乗った、いつもの電車。
そして、俺は最愛の恋人に会いに行く。
ー終わりー
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