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12. 嫌だ
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「え…」
足が、動かない
「ぅ、あっ…」
じくじくとした痛みが、次第に耐え難い痛みへと変わってゆく
ぐちゃぐちゃな思考回路の端で、何が起こっているのか理解しようと恐る恐る足に目線を向ける
__足に、小さな穴が空いている。実際は穴が直接見える訳では無いか、小さく穴の空いた制服のズボンからじわじわと血が服を侵食していた
それを目にした事で、改めて血を流しているのが自分だと理解し一気に痛みを自覚する
あまりの痛みに目から零れた滴をはじめに、涙がとどめなく溢れ出した
意識が朦朧としたりハッキリしたりを繰り返しながら、痛みから頭を振り乱して手当り次第に壊してしまいたくなる
が、そんな事が出来る訳もなく心の内とは反対に身体は鉄になったかのように動かない
痛いのは足だけのはずなのに、体中が痛くなってきて呼吸も荒くなっていく
どこが痛いのか段々分からなくなってくる、全身が血管になったように血の巡りが体全体に響く
ただ、ひらすらに体中が痛くて、きしきしと悲鳴をあげているような、そんな感覚がする。
…一瞬にして希望を失った僕が頭の中で色々と考えをめぐらせているうちに、追いかけてきた奴らがゆったりと近づいてくる
「いやーあっぶねーw
逃げられるとこだったじゃん?」
「おい、気をつけろ」
男が2人、ピアスを大量につけた金髪の男と、オールバックで黒髪の男。
そいつらの手には銃。
僕は、銃で打たれたのだ、こいつらに
今の日本にいて、撃たれることがあるなんて思いもしなかった。父に一度、実際にあるのだから気をつけろと話を聞いた事があるが、ものすごく低い確率だと頭の隅に追いやっていた
その父のせいでこんな事になっているのだから恨めしい。その間も足の痛みは止まることなく、どんどん痛みが増していく
「ありゃ、こりゃまた綺麗な顔。殺すのもったいねぇーなぁw」
綺麗な顔…?
あの2人にもいつも言われていた
お前は顔だけはいいんだから、って。
だから…そのセリフに、こんな危機的状況にも関わらず思い出してしまう、あいつらの事を。
死ぬ間際まで、思い出すのはあいつらの事だなんえ
虫唾が走る、腹の奥底がドロドロして気持ちが悪い
…イライラする
ヘラヘラと笑いながらこちらを見下ろしてくる金髪に、苛立ちが隠せなくてグッと睨みつける
もったいない…って
僕は、物なんかじゃないのに…っ
「だからなんだ、仕事は仕事だ」
金髪の言った言葉に、またかと呆れたように黒髪がこぼす
なにが仕事だ…
人の命は、そんな軽いものじゃない
「………な」
「ん?」
僕は、まだ死にたくない
「ふざけるな……僕は、僕は物じゃない!好き勝手言いやがって…!!」
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