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25. 理解不能
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「何…言ってるの…?」
驚きのあまり、思わずといったふうに遥の肩から手を離してしまうものの、また詰めよろうとする母
だが、それに伴い遥も後ずさりをするため再び近づくことはできない
「…おい、ふざけているのか?」
「ふざけてなんていません、もう帰ります」
はっきりとした口調で言い切り、もう話すことはないというかのように口を横に結びながら顔を顰め2人を見る
遥が両親に向けるその視線には、意図的に嫌悪が含まれているように感じた
その態度にイラついてか、父が声を荒らげる
「なんだ、その態度は…!私がお前を見つけるためにいくらつぎ込んだと思ってるんだ!?」
始終自分勝手な言い分を押し付けるだけ。
キリのつかない話し合い…
脳裏に蘇る過去の記憶に目に涙が滲むが、爪が食い込むほどの力で手を握りしめこぼれるのを堪える
金がかかった?
そんなの、そっちが勝手にやった事じゃないか
僕が責められる筋合いなどないのに…
2人の顔が見たくなくて下を向くと逃げるなと言いたげにガッと手を掴まれる
「は、離してくださいっ」
「お前は!柳沢家の息子だろう!?
ここ以外に帰る場所などない!」
怒りからか顔を醜く歪ませる父
それはルールを守らなかったからと執拗に殴ってきた時と同じ表情で。
恐怖で身体が固まり、不自然な動きになってしまう
いつもそうだ
理解しようとなんてしない
諦めの感情が頭を支配していく中、激情したままの父が勢いよく手を振りあげるのが見えた
「っ___!」
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