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27. 埒が明かない
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勝った、とでも言いたげなムカつく笑みだ
その笑みに遥は少なからず恐怖を抱いたようだが、蒼矢はただひたすらにイラッとしただけだった
「さぁ、どうなるって言うんです?」
めんどくさそうにいう蒼矢に、そのむかつく笑みがピクッとひきつる
「…社会的に、この世から君という存在を殺してあげようか」
ひきつったのもつかの間、また、によによとした嫌な笑みをうかべる
それを見てか、目を潤ませた遥が横から様子を伺ってきた
きっと、自分のせいで蒼矢が、と責めているのだろう
なんて可愛いんだ、これは是非とも後で慰めてあげないと…
「はぁ…どうぞお好きに」
「はぁ!?社会に出られなくなるんだぞ!?」
しおらしく謝りだすのを想像していたんだろうか、自身の策が通じないと分かった途端ありえない、どうして、という表情で喚き出す
そんな父親の傍で、未だ放心したままの母親が力が抜けたように遥を見ていた
「別に、そんなのどうとでもなりますから」
「馬鹿なのか!!ただの糞ガキのくせにっ!お前、遥を利用して…!」
遥を利用してどうするというのだ
そんな考えが出来るのはお前だけだと、ただ呆れる
「そんな訳ないでしょ…もう埒が明かないんで、帰ります。遥、行こう」
「…うん」
遥の表情は先程より暗いものになってしまっていた
無理して笑っていると分かるその表情に、早く慰めてあげたくて仕方がなくなる
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