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幸せ
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__あれから2年、今年で3歳を迎えた
喋っても、気味悪がられない年にまで成長して、大分楽になった
気兼ねなく話せるし、言葉で伝えられるのはいいものだ
「ノア、お昼ご飯よ〜」
そんなことをしみじみと考えていると廊下の方から母の声が聞こえてくる
「は〜い」
たったこれだけのやり取りでも、幸せだなぁって常々思ってしまうくらいには、ここが好きになっているのかもしれない
あれから、レヴィとも仲良いままだし
「レヴィにいさま、ごはんだって」
僕の部屋で、夢中になりながら本を読んでいるレヴィに、声をかけながらそばまでいく
「ん〜」
返事?はしてくれるが上の空で、本にはいり込んだままこちらを見もしない
毎度のことで呆れながらも、ぽん、と肩を叩くとはっという顔になりやっとこちらに気づく
「…もうご飯?」
「うん」
またやっちゃった、という顔をするレヴィに思わず笑いがこぼれる
「…なに」
どこか不満の滲む声に、可愛いなぁなんて。
「いや、なーんにも。ほら、はやくたべにいこう」
納得のいってない顔をしているレヴィの手を両手でひっぱり、大広間へと移動した
「もう、ご飯が冷めてしまうわ」
大広間にはすでに料理が並べられていて、母が待ちくたびれたというようにむくれていた
「ごめんなさい‥」
むくれている母は、少女のようにも見え思わず笑ってしまいそうになる
そういったって、廊下が長いんだもの
そう心の中で言い訳しつつ、口では素直に謝っておく。
「きっとまたレヴィが本に夢中になってたんでしょ?」
ふふっと可愛らしく笑い、レヴィとノアを交互に見る母
母の笑い方、やっぱ好きだ
「すみません…」
なんて、レヴィがほんとに申し訳なさそうに謝るから、なんかいじめてる気分になる
「大丈夫よ、早く食べましょう?本当にに冷めちゃうわ」
何回もやっているこのやり取り。
でも、何回繰り返しても幸せだなって思う。
「うん」
ここに生まれて良かった。
顔が緩んで仕方がない
何気ない日常がほんとに幸せで、溶けてしまいそうだ
でも、あれからずっと、父とは話していない
見かけることはあっても、話しかけることはできずにいた
「母上、ルイーズは?」
「今日は母と食べるそうよ」
ルイーズがいないと知り、少しホッとした表情を見せるレヴィ
まぁ僕も嬉しいんだけどネ
…ずっと父の事は「お父様」と呼ぶのに、母の事は「母上」と呼ぶレヴィを不思議に思っていた
そして、ついこの間、聞いてしまった
「…僕の母は「母上」とは別の人だから」
その時はよく分からなかったが、そう答えたレヴィはどこか悲しげで、それ以上は聞くことが出来なかった
その後、理由が知りたくて、自分で色々と調べ情報収集をしまくった
すると、僕の母以外にも、レヴィの母、ルイーズの母が父の妻としていた。
この世界は一夫多妻制でもあるらしいから、不思議なことではないんだろう
それに、平民は一夫一妻が普通だが、貴族になるとほとんどが一夫多妻なんだそう
衝撃だったね、そりゃあ
ルイーズの母はいかにも悪女って感じだったし、レヴィの母は放置気味だし…
でもある意味、だからかと納得した
レヴィはずっと僕の母をホントの母のようにして一緒に育ってきたから
放置されてたから、僕の母が『代わり』にレヴィの母役をやっていたんだなって。
「どうした?ノア」
レヴィの安心させるような、柔らかい笑み
あぁほんと、『ここ』に生まれて良かった__
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