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俺の子
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「では、そろそろ持ち場に戻りますわ。ほら、行きましょう」
そう口では優しい声で言いながら、強い力で僕の手を握りしめぐいぐいと引っ張っていく
だから、痛いんだってば!
引っ張られないよう足に力を込め、留まろうとするが所詮は子供の力。そのまま引きづられてしまう
「っ」
抵抗をしたことで先程より強く握られ、更に痛みが増した腕に思わず顔を歪める
「おい」
なんの前触れもなく、静かに、低く威圧的な声がかけられる。けして大きくはない声なのに、どこか凛としていて響く
その声に、侍女?が予想外だったのか、ビクリとし驚いたように目を見開くと足を止めた。そのままそっと振り返ると引きつった、貼り付けたような笑顔で言った
「ど、どうかいたしましたか?」
その声に父の眉間が小さく歪められる
「どうした、だと?…お前には耳がないのか?」
見下すかのように、いや、見下しているのだろう。馬鹿にするようにそう言いながら侍女を見る
おいおい、そんな言い方ないだろ…
侍女のことはなんか嫌だとは思っていたけど、流石にその言い方は酷い気がする。涙目になっちゃってるんじゃ、と思い侍女に視線を送った。
「!」
驚いた…思わず口を開いて唖然としてしまう。てっきり泣きそうになってると思っていたのに、あからさまに眉間に皺を寄せ口をへの字に曲げている
いや…え?あからさますぎない…?え?
驚きに開いた口が塞がらない
こっちの世界じゃあ侍女は理不尽に怒られてもとにかく謝る、決して嫌な顔はしない、そんなイメージしかなかったから余計に。
「言っている意味が分かりませんわ、私(わたくし)、なにか致しましたでしょうか?」
開き直るかのように、ふんっ、と鼻息荒く言い返す
さも当然とでも言うかのように言い放つ侍女。流石の父も、これには唖然としているようだった
「…さっき、そいつが痛いと言っていたのが聞こえなかったのか?お前のその太い腕で、そいつの枝のような腕を掴んだら折れてしまうだろう」
気を取り直したのか、そう告げる。意外と父が僕のことを心配してくれていて、嬉しいような恥ずかしいような感覚にむず痒さを覚えた。
…枝という表現は、少し…いや、結構失礼のような気もするが
「太っ…私は、この子が部屋に入ろうとしていたから注意したのです!悪いことなんてしていないわ!」
まぁ…確かに、あれは入ろうとはしてなくてもそう見えるだろうし、筋が通ってるちゃあ通ってるんだよなぁ…
「だからといって、その言葉使いと、…俺の子に対するその行為が許される訳ではない」
俺の子…?
俺の子だって‥!聞いた‥!?俺の子、だって!
うわぁ〜すっごく嬉しい…なんか、泣きそう‥
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