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作戦変更
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その父の言葉から、やっと、僕がこの家の息子であることに気がついたのかハッとした表情をした。
「わ、私は、イヴァン様のためを思って…」
やばいと思ったのか、突然方向変換をし目をうるうると潤ませ上目遣いで父の事を見始めた
変わり身が早すぎる…逆に尊敬してしまいそうだ。うへぇ‥僕には真似できそうにないな
チラリ、と何気なく父に視線を送る。…僕を見る時よりも冷たく蔑むような、射るような目で侍女のことを見ていた
僕を見ている時よりも冷たい目、と言うだけで嬉しく感じるのは何故なのだろう
何も言わず、ただ見つめるばかりの父にもう無駄だと感じ始めたのか、侍女がイライラし始めているのが目に見えて分かる
面倒くさい…
まだキリがつかないのかとわざとらしく、恨めしそうに彼女を見やる。
彼女がチラリとこちらを見たことでバチリと視線が合ってしまった。
ギッとこちらを睨みつけると
「もう結構よ!」
と言い放ち、僕の腕を投げ捨てるように乱暴に放すと、廊下を1人でずんずんと歩いていってしまう。
「…ハァ」
側から小さく、ため息が聞こえた。隣にいるのは父、流石の父も、あんな彼女相手じゃあ疲れたのかもしれない
「えっと…ありがとうございます、とうさま!」
無邪気に、明るく笑う
まさか助けてもらえるとは思っても見なかったけど…ちょっとは進歩していっているのかも。
「……フン」
返事はせず、僕に小さく視線を寄越すとドアの中へ入っていってしまった
でも、その時不意に見えた横顔はいつもより柔らかくて、暖かいものに思えた
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