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常識
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はっきりとでは無いが父に「黙れ」と言われたにも関わらず、それでもまた口を開こうとするルイーズ。
これには誰もが呆れ、僕が禁断魔法を使ったかどうかという話題については薄れつつあった
まぁ、その方が助かるんだけど…
生まれながらに貴族をやっているにも関わらず、こうも常識が無い事には驚きしかない
流石に、これにはレヴィも口出しせずにはいられなかったようでルイーズが口を開くよりも早く言葉を発する
「姉様…いいかげんにして下さい」
そんなレヴィでさえも、先程までの怒りより呆れの方が勝ったのか、面倒気にいい加減にしろというような事を言うだけだった
ここまでくると呆れてしまうのも、仕方が無いような気もするが。
屋敷仕えの者にさえ呆れられる貴族など、聞いたことがない
「っ……失礼、致しましたわ…」
やっと諦めたのか、一瞬顔を顰めた後にドレスの裾を持ち礼をすると、そのまま立ち去って行ってしまった
あんなに執念に僕の事を言ってきたのに、意外にもあっさりと引いたルイーズに少しばかり驚く
が、父だけでなく、レヴィにまであんな風に言われてしまっては引かないわけにも行かないのだろう
それにしてもあれは、貴族として成り立たない程の常識のなさだ
父は今と同じで関心をもたなかったようだが、長女で頭も良く吸収の早かったルイーズは実母に蝶よ花よと育てられたらしい
だからとは言い切れないが…少し自己愛が強いようで。本人は無意識みたいだけど、行動も自分本位なものばかりだ
まぁ、貴族は大体そんな感じらしいけど…
そう思えば、レヴィがああも立派に育ったのは母の人柄があっての事かも知れない
そんなルイーズが立ち去り、辺りは一気に静まり返っている
「…各自、持ち場に戻れ」
タメ息を吐くように、父が言葉をこぼす。
流石は当主、一気に場を引き締めたその声に皆小さく礼をすると立ち去って行った
レヴィも父も、このたった数十分の出来事で大分顔に疲れが浮かんでいる
しかも、あの精霊達でさえ呆れ顔をしているのだから、ある意味ルイーズは凄いのかも知れない
「ノア、ごめんね…すぐに対応できなくて」
庇ってくれたのに、レヴィに申し訳なさそうに謝られてしまう
「いや!」
いやいやいや、もうあれはしょうがないとしか言いようがない
し、あそこにルイーズが来ることを予想出来なかった僕にも原因がある
詠唱とか…覚え忘れてた僕が悪いしね
「僕こそ、変な誤解を招いちゃってごめんなさい」
「全くだ」
素直に謝ると、間髪入れずに父に肯定される
いや、まぁ、父も一応助けてくれたし…うん。
また本当にそうだと考えているであろう顔で、呆れながら言ってくるのだから逆に感心してしまう
もちろん、感謝もしているけどね
なんか、一気に疲れたなぁ…
『ミズ、ミズ』
『目カラ、目カラ』
ふいにちょいちょい、と下手したら気づかない程の力で服の裾を引っ張られた
「ん?」
何だ…?精霊?
アヴィ達に比べ、少し小さい精霊達が数人
目から…水?
ふわふわと足元を浮かせながら、途切れ途切れの声で可笑しそうに、くすくす笑いながら囁く
『泣いテル、泣いテル』
泣いてる?
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