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余命
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『あのね』
ノアの余命は、あと2年ほどしかないんだ_
そう言ったレウスの顔は、可笑しそうに歪められていた
突然、得体の知れないものからそんな事を告げられて信じる訳もなく、レヴィ達の表情に警戒の色が強まる
『違和感くらいは、感じてると思ったんだけどなぁ。思い違いだったみたい』
目を細めて少し小馬鹿にするように笑ったレウスに、父イヴァンの眉がピクリと反応する
『何も思わナかったんだぁ…?アんな小さな子が、アんなに大きい力を持ってるノに』
本当に不思議そうに、首を傾げながらぼんやりとした目をレヴィ達に向けるアロト
『まァ所詮は「人間」だしネェ』
アヴィは、アロトのこぼした言葉に対して力とは何の事だと言いたげな2人を、見下すように鼻で笑う
思い思いに呟き始めた2人を、レウスが目線を向けることでそっと制止した
顔に満面の笑みを貼り付けると、まだ意味の分かっていないだろう2人に向き合い口を開く
『_あの歳で、あの技術。さぁて、今ノアにはどれくらいの魔力があると思う?』
突然の質問。
意味など分からないし、信用もできない。
笑顔を向けられているはずなのに、何の感情も伝わって来ない目の前の生き物に、2人は気づかぬうちに恐怖を抱いていた
冷や汗が、頬を伝う
「…800、か」
流石に普通とは言えない空気を感じたのか、レヴィより先にイヴァンが答えを口にした
…800という数値。
精霊たちでさえ驚きを覚えるくらい的確な答えに、流石は国王の右腕にして親友という立場の人物であると、感心せざるをえなかった
ノアほどの年の子の魔力量は、多くても80。少ない子では50に届くかどうかという量だった
成人男性の平均魔力量であっても、多くて600、中には200程しかないという者もいる
更には、城に仕える王宮魔術師の平均魔力量であっても1200程。低い者ならノアとそう変わりはない程の量だ
そう、それくらい、ノアの年齢にして800という数値はおかしなものであり、
…それでいて、正確なものでもあったのだ
普通であれば、まずそんな可能性など考えないだろう
一般の貴族であれば、ノアの魔力を目にしても鼻で笑って終わりだ
ノアの魔法の使い方、物体を出現させられる量、時間、速さ。使用後の疲労感の表れ…
たったそれだけの、素人には分かりえないほどに細かな情報だけでここまで考えられるイヴァンは、流石としか言い様がない
_だが、書斎の中に響いた声はレヴィや、イヴァンが想像していたものとは全く違うものだった
『ぶっぶー!ザンネンでした〜』
陽気に、場に似合わぬような声で否定される
答えを外した目の前の人物が面白くて堪らないというように。
アヴィの元から高いその声は、離れている筈なのにキンキンとした感覚が耳を掠めるくらいのもので、2人は思わず顔を顰める
その間、レウスはアヴィとアロトの間から口元だけに笑みを浮かべ、影のかかったエメラルドグリーンの瞳を2人に向けていた
アロトが元々細い目をさらに細めながら、唇をほとんど動かすこと無く言葉を紡ぐ
『ノアの、本当の魔力量はね__』
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