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魔力量
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『ノアの、本当の魔力量はね__』
『_ゼロだよ』
ニコ…
その発言には到底似合わない儚く美しい笑みに、2人はなかなか言葉の意味を飲み込むことが出来なかった
魔力量がゼロ。
そんな事がありえるのか
それは、この世界での死を意味するも同然である
魔力が無ければ職になどつけず、信用も手に入らず、更には日常生活すらおくれない
いや…おくれはするが、それは想像できないほど過酷であろう
学校へ行くにも魔力の最低量に満たなければ通う事は出来ない、魔力量が少ないだけでも不便で仕方がないだろう
それならばと自らの手で我が子を殺める親も少なくはない。
『…でも、無限とも言える』
その一瞬の間にレヴィ達の頭に浮かんだ事を察したアロトが、ポツリとこぼした
ゼロでもあり、無限でもある
対称的な2つの言葉に、2人はますます混乱するばかりだった
理解の出来ていないふたりが可笑しかったのか、思わずといったようにふふっと笑いをこぼすアヴィとレウス
アロトの目は相変わらずぼんやりとしたままで2人に比べつまらなそうに見えるが、それでも目の奥にはうっすらと興味や愉しさの色が浮かんでいた
『ノアの魔力が清水なら、他のニンゲンの魔力は泥水も同然ヨ』
アヴィが少し馬鹿にしたかのような笑顔で、ノアの魔力を賞賛しだす
言葉にはしなずとも、アロトもそれに賛成するように小さく目を細めた
その間も先程から全く崩れることの無い、美しく何処か恐怖さえ感じる表情で微笑み、父達を見下ろしているレウス
まるで感情と表情が離別しているかのように思えて、この世のものではないのではなどと考えてしまう
泥水だというほど他の人間の魔力と、ノアの魔力に何の差があるのかと思うが、考えれば考える程疑問が重なっていった
「だから…どうしろと言うのだ」
目的の見えない会話に、警戒したままの父がレウスに向かって聞く
自分よりも魔力の多い者の魔力量は測ることが出来ないが、イヴァン程の魔力の持ち主であればアヴィ達がどれくらいの力を持っているのか、大体感じ取る事ができるだろう
ただでさえ凄い量の魔力をもっているイヴァンが測れないのだから、充分に危険だ
レウスは質問を聞き一瞬動きを止めると、その口元に浮かべる笑みを深くした
そして、ふふ、と可愛らしく微笑み首を傾げると、少しも笑っていない目をしたまま口を開いた
きっとこいつらは…
『まぁ…結論だけを言えば、ノアに魔法を使わせないでもらいたんだ』
化け物だ。
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