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危機感
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いつもより少しだけ肌寒い朝の事。
あの日以来、練習場と化している中庭に足を踏み入れる
練習場としてはそこまで広いとは言えないけど…一般的な中庭と比べたら十分過ぎるくらいの広さだろう
使用人の人達には、僕がここを使うときは近づかないようにと伝えてもらったし、建物に被害が出ないように薄く結界もどきも張ってある
実際張ったのは僕ではなく精霊たちであるため、原理は分からないが
それにしても
いつもは大抵、図書室か練習場にアヴィ達がいるんだけど…
(……皆いないのか)
図書室にもいなかったし、今日は何処へ出掛けているのかもしれない
いつも、ついてまわってくるはずなのに珍しい
(精霊も出掛けたりするのかな…?)
体内で魔力を循環させ、準備体操のようなものをしながら考える
いつの間にか頭の中で精霊が地縛霊のようなものと重なっていたらしく、どうにも外に出かけていく精霊の姿が想像できない
3人同時にいないっていうのは珍しいけど、本来彼らは自由気ままな生き物だと本に書いてあった。こういう事も普通なのだろう
(さて…)
フゥ、と短く息を吐くと、父達の前でやった水球を出して維持出来るように意識を向ける
あれが案外、ただ大きくするのは簡単でも同じ大きさ、同じ形を維持し続けるのが難しくてこうして練習に励んでいる
結構な頻度でこの練習をしているからか、ある程度なら集中しなくても維持できるようになってきた
普通魔力を鍛える時、魔法を使っては枯渇させ使ってはを繰り返す事でだんだんと魔力量増やしていくらしい
枯渇してしまうと物凄い気だるさや頭痛に襲われ、最悪1日中起きれない事もあるんだそう
(でも…枯渇した事ないんだよなぁ)
枯渇したことがない割には初めから魔力量が多く、感覚が掴めなくて魔法が使えなかったことはあっても魔力が足りなくて使えないという事はなかった
(最近になってアヴィ達が新しい魔法を教えてくれなくなったし…)
はぁ…
思わずため息が出る
今まで感覚だけでやってきたようなものだから、アヴィ達精霊に教えてもらえないとなると新しい魔法を習得するのは難しい
(まだ下級魔法くらいしか使えないし…これで学園でやって行けるのかなぁ…?)
ここに来てから、随分楽観的になったものだ
今だって、あと少しでもしかしたら死ぬかもしれない場所に行くっていうのに全然危機感を感じていない…
頭の中ではそう思うのに、やっぱりいっこうに危機感は湧いてこない
(まぁ…危機感を感じないって事は、きっと大丈夫だよね)
結局、頭で考えるよりもとりあえず魔力の扱いを上達させようと一層手元に集中することにした
ガサッ__
「……え?」
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