アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
馬鹿のゲシュタルト 甲斐田×赤松
-
ここまで馬鹿にされてきた赤松だったが、彼はやっとこの状況の危険さが分かってきたようで、口角をひくつかせている。
突然甲斐田に呼ばれてのこのこ彼の部屋へやってきて、鍵の掛かっていないドアを押しあけた瞬間心霊現象のように問答無用で中へ引きずり込まれてこのざまだ。
背中にはベッドの堅い感触がある。
そして上には、恐ろしいぐらいの無表情で自分を見下ろしている甲斐田。悪夢だった。夢ならぶん殴ってでも起きてほしいレベルの。
さっきから何気なく頬を引っ張って刺激してみても覚める気配がないことが、一番の悪夢だった。
「甲斐田さんまさか酔ってるー?」
「素面ですが何か」
「ですよねー」
できるだけ普段通りの態度を心がけて茶化すような口調の赤松に、甲斐田はあくまで義務的な態度を崩さない。
常日頃心を読みづらい彼だったが、今日に限ってその特異性を恨めしく呪った。
淡々と返され赤松は更に絶望に突き落とされた。
酒でも飲んでこういうことをしているならまだ笑って誤魔化せたが素面で押し倒されているならもう意図は確定だ。冗談でこんなことをする人でもないのがまた辛い。
情欲の欠片もない透明な瞳が、暴れる気力を奪ってるような気がする。
背丈が低い年上に押し倒されるなどというシチュエーションは、まだ経験したことがない。
当たり前だ。だからどうすればいいか戸惑ってしまう。
その躊躇が徐々に赤松を引きずりおろしていっているのだが、彼はまだ気づくことができなかった。馬鹿だからだろうか。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 60