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日記の始まり
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そもそも、日記は2人とも元々普段も記していた
貴仁は飛ばし飛ばし、何か有った時と言うよりは、暇な時のみの数行の短い記録のようなもので、
例えば
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3月14日
龍希、仕事が閑散期。
俺も珍しく仕事を落ち着かせられているので、
明日は映画へ行こうかと話している。
動物園にも行きたいと言っていた。
予定を決めよう。
──────────────────
こんな具合に極めて短い呟きのようなものが、
何も無く暇な時ほど記されている。
龍希くんと出会い、日々を幸福に過ごすにつれ、
日記は少なくなってきている。
おそらく人間とは、幸福なら幸福なだけ
日記になど、その日々を記さないのだろう。
それでも、その何でもない日々にこそ幸せが色濃くなるのに気付くのは、きっと、
その何でもない幸福を失った時なのだろう。
龍希くんは、ネット上にブログをアップしていたようだ。
仕事の一貫でもあるブログだったため、
そこでもゲイである事は公にせぬままに、それでも毎日のようにとても楽しげな日々を綴っていた。
例えば
────────────────
3月も半ばです。この時期はお店も落ち着いているので、ゆっくりお買い物をしたい方は是非。
そんな落ち着いた日々を利用し、先日
映画を見に行きました!
最近話題になっている作品です!
一緒してくれた人が翻訳の仕事をしているから
字幕の翻訳の話を沢山聞けてすごく楽しいんですよね!
いつもオレが知らない事を沢山教えてくれて、それはすごく楽しい世界ばかりで、
一緒に居る時間はすごく楽しいんだ!
映画はとても良かったです!
ネタバレするから言わないけどー!うー!でもねでもね、うん!ラストスパートわー!わー!てなるから!
すごいから!オススメ!!!
あ!ハンカチ必須!!!
オレはポケットティッシュ半分使ったからね!(笑)
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この日記を読めば彼の人柄がわかるような、
とても彼らしい、楽し気で気配りのある、比較的しっかりとした日記で
お店の常連客をはじめ、ファンも固定しているブログのようで、
そこでは性別は明かしていない貴仁の事を、
読者が彼の恋人と思うか親友と思うかは自由とするかのような書き方で、それでも、その人物を尊敬し、愛している様子だけは真っ直ぐ綴られてる。
読んでいると、まるでその笑顔は無くなる時などないのではと思えてしまうようだ。
……ついでなので、もう1つ
この先の2人の日記にも関連してくる事だったので、
私の元へカミングアウトをしに来てくれた日の事を、
貴仁の日記を紹介しながらお話ししたいと思う。
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