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日記の始まり
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貴仁の日記より
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6月18日
予想外。兄から連絡あり。
今月が俺の誕生日なのもあり遊びに来ないか?と誘われる。
両親へのカムアウト等のタイミングを図っていた所だったので、少し悩む。龍希を紹介するかどうか。
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6月20日
昨日、龍希へ両親より先に兄に会ってみないかと相談
自分の気持ちはどうなのか?
両親との順序はそれでいいのか?とだけ、聞かれ
それでいいのならオレは勿論かまわないよ。と
すぐに承諾した。
あいつは、本当に強くなった。格好いい奴だなぁと
いつも思わされる。
次、27日28日と、龍希が俺の誕生日だからと連休を取っていたと言うので、
そこを利用して行く事にした。
俺と出かける為に休みにしていたのだろう。埋め合わせはしなくては。
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6月28日
27日から兄宅へ。一泊させてもらう。
奥さんの良子さん、娘の愛子ちゃんと会ってきた
龍希を紹介。
兄は驚いていたが、2~3の質問と、少しの会話を龍希と、俺と、互いに1対1で交わし、
すぐに、祝福の言葉と、揃いの2膳の箸をくれた。
俺が将来を誓った相手を連れていくよ。などと話したから、それなりの祝いの品を用意してくれていたようだ。
「夫婦箸と思って用意してしまったから、色は二膳同じでも、片方はやっぱり女性用だから店に頼んで変えてもらおう。」と、兄が提案してくれたが、
龍希が、折角用意してくれたそのままを受けとりたい。と、夫婦箸のまま受け取った
女性用だ、などよりも、その事を気にかけて提案してくれた事が、龍希はとても嬉しかったようだ。
家に戻ってからも箸を見る度にその事を嬉しそうに話している。
一泊できたので、夜は兄と二人じっくり話せた。
両親へのカムアウトのタイミングなども相談できた
絶対簡単に祝福してくれはしないだろうから、
同行してフォローは入れると言ってくれた
安堵した。兄と良子さんには心から感謝している。
娘の愛ちゃんがとても龍希になついた
龍希も子供が大好きなのでずっと一緒に遊んでいた
そんなあいつの姿を見るのは、何より幸福だ。
龍希が誕生日祝をくれた。ブックバンドと
気になっていた洋書だ。
ありがとう。愛している。
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さて、貴仁の日記はこの程度で終わっているが、私はこの日の事を今でもとても鮮明に思い出せる
私は弟の貴仁とは、子供の頃から喧嘩しつつも仲良く育ってきたと思っている。
互いが成人してからも、私が結婚してからも、
何か有れば連絡をしたし、疎遠になる事もなくすんでいる。
そんなよく知る弟の貴仁が大切な女性を失って数年、
男性の恋人を連れて来たのだ。
過去振り返っても稀な類いの衝撃をもって、この日の事を覚えていて無理はないと思っていただきたい。
あの日、貴仁は前もって、
「生涯のパートナーにしたい人ができたので、紹介したい。」
と伝えてきた。
香奈子さんを亡くした時のあいつの、もうどうしようもなく辛そうな姿を知っている私と良子は、
それはそれは嬉しくその言葉を受けすぐにお祝いの品を用意した程だ。
今となれば、お相手を知ってからにするべきだったと思うが、
その時は良子も私も舞い上がっていた。
私の勝手な見解ではあるわけだが、相手が男性だという可能性が自分達の中には無かったものだから、
やれ鍋ならこのメーカーが可愛いだの、ティーカップならこのブランドだ。など
良子に押されて、女性好みの流行りの鍋ならやらにする所だったのを、
結局、長く使える縁起物と言う事で、京の老舗の夫婦箸にした。
片方が女性用となる夫婦箸にしてしまったのは失敗だったが、
まぁ、派手な着色も装飾もないそれにして良かったと思う。
日記を読む限りでは龍希くんもとても気に入ってくれたようだし、
二人は今もその箸を使ってくれている。
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