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初期症状
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貴仁の日記より
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2月16日
今日からノートを変えようと思う
先日の日記を読もうとノートを開いた。
あまり考えずおもむろにページを開いたら、
そこには、去年の秋頃に、龍希の昼休憩を使って待ち合わせし、
一緒に外で食事をした日の事が書いてあった。
その日に限らずそんなランチはよくしていた。
仕事場の店長の顔から、俺の知る龍希のあの最高の笑顔になるのを思い出した。
新しく欲しい服があるんだ、と雑誌を見ながら、俺に服をねだる。
どれが好き?これは?これは?と俺に聞く、
日記の中の、そんな今は無い姿に泣きそうになったのだ。
その幸せな日記に辛さしか見付ける事が出来なくて
一瞬でも先の未来に絶望を感じる自分に腹が立ってノートを閉じた。
なので、今日から日記のノートを変える
少し前の、幸せな自分の日記が怖いのだ。
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2月20日
今一度まとめてみる。
・眠れてはいないようだ
・だるさはひどくなっている
・吐き気やめまいなどは軽くなっている
・胃痛もないようだ
・不眠のせいか、頭痛は引き続き
・口数は以前よりさらに減っている
・何もやる気がないようにぼーっとしている時間は増えたり減ったりを日々繰り返す
・食欲は有るが、美味しそうだとか不味そうだと言う表情が無い
感覚的に言えば、調子の良さそうな日もあるが、本当に全く感情のようなものを感じない悪い日もある。
と言ったイメージだ。躁鬱とはまた違い、調子の良さそうな日も別にテンションが高い訳でも無く
いつもよりかは、多少は表情もあり、会話もある。と言う程度の調子の良さである
トータルで言えば、悪い日の方が多い。
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2月23日
心療内科へ
まだとりあえずは、うつ状態との診断だが、
もう一度様子をみてみよう。という判断らしく
それは、もうほぼうつ病と言う診断だと思ってもいいぐらいに捉えられた。
新薬の話を聞く。副作用も考えられるが、試してみるのは良いと言ってくれた。
けれど、とりあえず今はもう一度同じものを量を変えて摂取。
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2月27日
症状変わらず
頭の中で考えている事や思う事がまとまらないと言うようなニュアンスの事を言ってきた
おそらくは、その自分の思考が自分でコントロール出来ない事が辛いのだろう。
イライラが急激に増えている
俺に怒鳴ったり手をあげる事もある。
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2月28日
症状変わらず
イライラは、増している
辛そうな顔をするあいつを見ている事が辛い
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3月2日
吐き気、むかつき等、
副作用のような症状を強く訴える
心療内科へ。
薬を変える事に
うつ状態と言う言い回しが無くなった。
うつ病と診断
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3月7日
昨日、先生に大きなストレス等を感じるキッカケのような出来事は?と聞かれた
龍希は口にしないが、間違いなく両親への面会の時の事だろう。
そして、母さんのあの言葉意外には無いだろう。
俺はそれで間違いないと思っている
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3月10日
症状に変化
前より会話が増える、自分から何かをしようと動く事がある。
薬は良いようだ
イライラの具合は悪くはなっていないが、劇的に改善もしておらず、それなりに変わらず
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3月12日
龍希をこうさせたキッカケは、何なのか?
次の通院の時に先生へ話せた方が良さそうだ
先生には前回、俺と龍希の関係は話した。
俺も付き添いはしたが、龍希が自分でしっかりと話していた。
けれど、キッカケについては何も言わないまま終わった。
俺は個人的にだが、
俺の両親への面会時の結果と、
母さんのあの言葉だと思う。
あの時の母の言葉は、焦りと動揺等で言葉の良し悪しの判断などつかなかったのだろうと思ってはいる。
ただ、これに関してはどう面と向かって龍希と話すべきかを未だに測りかねている
ちゃんと、聞かなくてはいけないと解っていてもやはり怖いのだ
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