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第2章 龍希と貴仁の日記
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さて。少しだけ日記を離れよう。
紹介した日記で解るように、
龍希くんは、貴仁や私の両親へのカミングアウトを終えてから約3ヶ月をえて、うつ症状と診断された。
実は貴仁が、兄である私へと龍希くんの状況を教えてくれたのは、実に2回目の診察を終えてからであった
先に二人の善き理解者である、けんさんへ伝え
その後に私へと伝えてくれた。
嬉しく思う。
カムアウトした甲斐があったと思われたいし
あらゆる方面で可能な限りの手助けを約束した。
そして、同じくカムアウトしたおまえの友人達にも伝えるべきだと提案した。
「こう言う時に最大限利用してこそ、カムアウトの甲斐があったと言うものだぞ。」
明らかに気持ちが弱っていそうな弟へと
私は精一杯の兄貴風をふかせた
少しでも精神的な負担を減らさなければと思ったのだ。
その事が、余計なお世話ではなく、やって良かったのだと確信したのは、
この日記を手にして、先に皆様にも紹介した、
ノートを変える事にした日の日記 を読んだ時だ
何気に開いた幸福だった時の日常の記録を読み、
辛くなり、ノートを変えよう。と決めた日記を読むと
貴仁がどれ程、自分自身を不安材料に考え、
恐れていたか。
貴仁と言う弟の事を幼い頃から見てきた私には容易にわかった。
彼は、幸せな頃を思い出すのが辛かったのではない、
彼はきっと、怒っていたのだ
幸せな頃を辛いモノに変えてしまいそうな今の自分が
異常に腹立たしかったのだろう。
笑顔の記憶を、不安と涙とで埋めてしまいそうな自分へ怒っていたのだ。
彼は、過去、婚約者であった香奈子さんを亡くした時にも絶望し、涙し、幸福だった先日までの己を恨み怒り、その時の自分が彼女と共有した色々な物を実際に幾つか捨ててしまっている。
想い出の本、雑貨、家具……
同棲して長かった筈の彼女の物が、そのわりに少ない数しか残っていないのは、その結果だ
その想い出を感じるのが怖かったのではなく
それらを負の感情に変えてしまいそうな今の自分が許せなく、怖かったのだ。
彼はそう言う男だ
なので、彼が龍希くんとの幸福な日常の記録を守る為に、ノートを変えたあの日記を読み
お節介な程に手助けを申し出て良かったと思ったのだった。
さて、話を日記に戻したいと思う。
実は、龍希くんもうつを診断されてから自分で日記を残していた。
日記と言っても、書きたいとき書きたいだけ。といったものだ
よって、ここからは暫く、
龍希くんと、貴仁、
2人が同じ日に書いた日記を、交互に紹介していきたいと思う
少しばかり読みにくく理解が困難になる事も有るかとは思うが、
そこは、これを読んでいるあなたの持つその愛と
2人への想いが補ってくれることと、願う。
龍希くんの日記から順に紹介していこう。
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