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歓迎の宴で、大臣たちにリュカを花嫁に貰うことを告げると、これで、やっと落ち着いた生活に戻れると、皆、涙を滲ませ祝福した。
「リュカ殿下!ご婚約おめでとうございます!!私は!私は!本当にお二人はお似合いだと思っておったのですよ!!本当に良かった!!!」
成り立ちが、漁師や職人と言うのもあって、宴と言うのがしっくりくる、お上品な会食というものとは、かけ離れた酒の席。軽快なリズムに合わせて踊る踊り子や、曲芸を見せる一団が、その場を盛り上げ、豪快な料理が隙間なく並べられている。
そんな様子を、物珍しそうに眺めるリュカに、隣に座るジェイドが、一つ一つ説明していた。
そこへ、結婚相手を探す大役を勤めていた大臣コナッシュが、顔を真っ赤にしながら、ジェイドとリュカの元へやって来たのだった。年は、もう50を過ぎ、所々白髪の混じった黒髪に、事務仕事が多いハズなのに、筋肉質で黒く焼けた肌をして、パッと見、頑固な海の男のような姿をしている。
さぁさぁ、飲んでください。とリュカのグラスに並々と酒を注ぎ、その後、自分に注ぐと、一気に飲み干す。
「おい、誰だ?酔っ払いを寄越したヤツは?五月蝿いからって、こっちにやるな。俺もいらんぞ。」
その様子を、呆れ顔になりながら、周囲に話しければ、せっかくだから相手してやってくださいよ。と返される。
「全く…貸せ。」
「え…?」
リュカが、言われている事を理解する前に、並々と酒の入ったグラスを、ジェイドが奪い、一気に飲み干し、タンっとグラスを置く。
「まだ、来たばかりの人間に、むやみに酒を勧めるな。」
ジェイドが、コナッシュを軽く睨むが、怯むどころか、目を輝かせ始める。
「陛下!素晴らしい呑みっぷりではありませんか!!今まで飲めないとばかり思っていたのに!もっと、飲んで語ろうではありませんか!」
置いたグラスに、再び並々と酒を注ぐと、さぁ、どうぞと目の前につきだす。
「おい、飲めないとか言うんじゃない!格好つかないだろう?!今まで飲む必要も感じなかっただけだ!!」
飲めない訳ではない!と否定して、注がれた酒をグイグイと呑み始める。
「ではでは、今日は、めでたい日。是非とも一緒に祝いませんとなぁ!!」
嬉しそうに空になるグラスに、間隔を空けること無く注ぐコナッシュ。
「あ、あの?陛下???そのように飲んでしまって、本当に大丈夫ですか?」
おろおろと、隣で心配そうにリュカが声を掛けると、こんなに飲んだ事はないが大丈夫だ!と、既に呂律の回らない返事が返ってくる。
「あ~、これはダメですね。」
今まで居なかったはずのアズが、ジェイドのグラスを、ひょいっと取り上げる。
「陛下。リュカ殿下もお疲れでしょうから、そろそろ下がっては如何ですか?」
アズは、リュカの方に、チラリと視線を向け頷いてくれと目配せする。
「は、はい。」
こくこくと頷いて、ジェイドに部屋に下がろうと進言する。
「ん、わかった。では、俺はこれで下がる。皆は、好きなだけ楽しんでくれ。」
部屋に響き渡るほどの声で告げると、思ったほどのふらつきを見せずに、しっかりとした足取りで、リュカの腰に手を添え、並んで部屋を出る。
「お部屋は、今夜からは、こちらに…」
「世界が、回る…」
アズが、リュカに部屋を説明しようとした瞬間、ジェイドは、力無く呟きながら、リュカにもたれ掛かり、ずるずると床に座り込む。
「陛下…。やはり、本当はお酒苦手だったのですね。」
「………守るのは俺の役目だ。」
格好つかなかったがな、と小さく呟くジェイドを、リュカは、慈しむように見つめ、失礼しますと言うと、軽々ジェイドを横抱きする。
「お部屋までお運びいたします。」
「う?あ?」
酒が回りすぎて、状況がうまく飲み込めないまま、ジェイドはリュカに運ばれる事になったのだった。
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